217.注目の的(不二真)
「ねぇ、真田」
「何だ」
「何で僕たちがこうして並んで歩いてるだけで見られるか、分かる?」
 繋いだ手、指をしっかりと絡ませると、僕は彼を見上げた。当然だ、という顔で、彼が僕を見つめる。
「皇帝(俺)と天才(不二)が並んでいるのだ。注目されない方が可笑しいだろう」
 僕の手を強く握り返すと、彼は表情を変えずに言った。普通なら自惚れだと思ってしまうのだろうが、彼の発言には、いちいち重みがある。そうなんだ、と納得してしまうそうになる。
 でも、だ。
「ハズレ、だよ。幾ら君が王者立海の皇帝でも、街中でそれを知る人は少ない。勿論、僕のことを知っている人だってね」
「……ならば、何故視線が集まっているのだ?」
「分からない?じゃあ、分かるようにしてあげるよ」
 ふふ、と微笑うと、僕は強く握っていた手を解いた。代わりに、筋肉質なその腕に自分のそれを絡ませる。
「っ。不二」
「以前は手を繋いでいるだけで嫌がってたのにね。もう慣れたってことかな?」
 ほんの少しだけ顔を赤くする彼に、僕はクスクスと微笑いながら体を寄せた。すれ違う人たちの視線が強くなる。
「この調子で行けば、こういうことも自然になるんだろうね」
 慌てる彼の手を引き爪先立ちになると、僕はその頬に、ちゅ、と音を立ててキスをした。
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