220.不死(不二幸)
「そんなの、つまらないよ」
「何が?俺は、不二とずっと一緒にいられるような体が欲しい。死なない、頑丈な体が」
「だから、それがつまらないって言ってるんだよ」
 ベッドに座り俺の手を握り締めると、不二は溜息を吐いた。
 溜息を吐きたいのは、こっちなのに。
「……不二は、俺と一緒に居たくないって?」
「何が」
「俺の体はが弱いままってで良いと言う事は、そう言うことだろう?」
「弱いままで良いなんて言ってないよ。ただ、死なない、っていうのはつまらないって言ってるんだ」
 言って、また溜息を吐く。俺がそうしたいタイミングで不二が溜息を吐くから。俺は吸い込んだ息を上手く吐くことが出来ずにいた。それに気づいたのか、不二がクスリと微笑う。
「ずっと一緒に居れるって分かってたらさ、きっと、ただダラダラと過ごすだけになっちゃうよ。終わりがあるから、それまでの間頑張らなきゃって思うわけだし」
「……それは、そう、かもしれないが。だが…」
 言葉を止めると、俺は今度こそ溜息を吐いた。軽く握られていただけの不二の手を、ギュッと握り返す。
「それでも、不二の口から終わりという言葉を聞きたくはない」
 例え、終わることが分かっていても。
 自然と、強く握り締めていた手。その手に空いている自分の手を乗せると、不二は優しく微笑った。
「だったら、そんな言葉が僕の口から出ないように努力しなくちゃ」
「……何の?」
「永遠を繋ぐ為の、さ」
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