223.仕返し(不二切)
「ふぁーっ」
 カーテンの隙間から差し込む光で、オレは眼を覚ました。隣に温もりを感じ目をやると、珍しく、不二サンがまだ眠っていた。
 その頬を、2,3度つねってみる。
「……ぁ、かや」
 呟いて、オレの手を払い除ける。名前を呼ばれたことに、不覚にもオレは顔が赤くなっちまった。深呼吸をし、手で顔らへんを仰ぐ。
 それにしても、よく寝てる。そんなに昨日のが疲れた……んだな。オレだって、この状態から下手に体動かせねぇし。
「……………っ」
 思い出して。オレはまた、顔が赤くなってしまった。それを追い払う為に頭を振ると、腰が痛んで。また、思い出す。それなのに、このヒトは…。
 何処までも倖せそうな面して。しかも、いつもいつも余裕で。
 どうしたら、それを崩せる?どうしたら………。
「そうだっ」
 下半身の痛みを堪えながら、不二サンを起こさないように布団から出ると、その躰の上に圧し掛かった。不二サンの頬を両手でしっかりと挟み、深い口づけを交わす。
「ん」
 少し身じろいだけど。一回じゃ足りないみたいで。
「しょうがないっスね」
 呟くと、オレは何度も不二サンにキスをした。早く起きて、オレのしてることに赤面しないかな、なんて思いながら。
「赤也…」
 オレの名を呼び、不二サンが目を覚ます。覚ました、と思ったら、オレは不二サンにしっかりと両頬を掴まれ、深く唇を重ねられていた。
「ぁっ。はぁっ」
「おはよ……って。あれ?もしかして、僕、何かしちゃった!?」
 さっきのキスは寝惚けてのことだったのか、不二サンは荒い呼吸を繰り返している俺を見ると、慌てふためいているようだった。ごめん、と柄にもなくオレに謝ってくる。
「別に、怒ってないからいいっスよ」
 呼吸を整え、不二サンに微笑ってみせる。とりあえず、形は違えど、その余裕の面を崩せたことに違いはない。
 ただ。
「そう?怒ってないって言う割には、顔、赤いけど?」
「しょうがねぇっスよ。不二サン、キス上手いんだから」
 オレも、余裕の面じゃなくなってた訳だけど。
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