初め、兄貴が部屋でAVでも観てるのかと思った。 だって、真っ昼間だぜ?いや、真っ昼間っからAV観るのもどうかと思うけどよ。 最初は気にしてなかったんだけど。時々混ざって聴こえて来る兄貴の声がオレの体を妙に刺激するから。怒鳴りに行ってやったんだ。抜くんなら、オレが帰ってきてないときにしろ!って。怒鳴って、この体の熱を静めるつもりだったんだ。 なのに…。 「しゅう、すけっ…。イッ、ぁ」 兄貴の部屋のドアを勢いよく開けたオレの視界に飛び込んできたのは、頬を紅潮させた越前。全裸で絡み合ってる二人。 「あに、き…」 怒鳴ろうと吸い込んだ言葉が、その量に反して呟きとなって漏れる。 「ああ。裕太?」 顔を上げオレと目を合わせると、兄貴はニッと微笑った。 「リョーマ、可愛いでしょう?」 「はっ、ぁ」 自分の下に組み敷いていた越前を抱きかかえるようにして座ると、兄貴は越前の足を大きく開いて、オレに結合部を見せ付けてきた。 「しゅ、すけ。もっと…」 強請るように兄貴の手を自分のそそり勃ったそこへと持っていく越前。そしてそれに妖しい笑みを見せる兄貴。 余りにも堂々としているその姿に、逆にオレのほうが顔が赤くなっちまった。 思わず、目をそらす。けど。湿った音は、それじゃあ防げなかった。だからといって、ドアを閉められるような状態じゃなく。思ってもいなかった出来事に、オレはすっかり動けなくなっていた。 「裕太。突っ立ってないでサ。自分の部屋に戻るとか、仲間に入るとかしたらどうなの?」 「なっ…」 仲間に入る!?何言ってんだ、こいつは。 「しゅ、すけ。あんまり見せつけたら弟君、可哀相っよ。弟君、アンタのこと好きなんだからさっ」 口元に勝ち誇った笑みを浮かべながら言うと、越前はオレに見せつけるようにわざと水音をたて、そして兄貴と舌を絡めた。 「ふふ。残念だったね、裕太。でも、遊びなら相手してあげてもいいよ?」 「駄目っスよ。アンタはオレのもんなんスから」 オレに向かって差し伸べられた兄貴の手。それに自分の指を絡めると、越前はオレにムカつくほど幸せそうな笑みを見せた。 「頑張って、生きてくださいね」 「あ?」 「周助は今も、この先も、ずっと俺のもんだから。片想いは辛いだろうけど。それでも、周助の為に頑張って生きて下さいね」 「そうだよ。裕太が元気でいることが、僕の倖せなんだから」 クスリと微笑いあい、キスを交わす。その二人に、オレは脱力したようにその場に尻餅をついた。途端、風が吹いて。パタリ、と音をたて、扉が閉まる。 その後で聴こえてきたのは、さっきよりも激しい二人の息遣いだった。
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