228.穴(不二リョ)
「ねぇ、リョーマ」
「なんスか?」
「明日、早起きして落とし穴作らない?」
「………?」
「いつも僕たちの邪魔をしてる手塚をさ、落とし穴に嵌めて。その間抜けな写真を撮ってやろうかなって」
「でも、どうやって…」
「部室の前の土。あそこを掘ればいいよ」
「でもそれじゃ、大石先輩が嵌るんじゃ…」
「大丈夫。明日は大石、普通に来るよ。だから手塚が一番」
「………何でそんなこと分かるんすか」
「ん。だって今日、英二が泊まるって言ってたから」
「……ふぅん」
「何?」
「別に。でも俺、朝早くなんて、起きられないっスよ」
「大丈夫。僕が起こしてあげるから」
「……それって」
「ん?」
「泊まってけってこと?」
「うん」


「でっ。これ、掘りすぎじゃないっスか?」
「まだまだだよ」
「だって…もう、1メートルくらいは掘ってません?俺、昨日の今日で疲れてんスけど…」
「じゃあ、リョーマは少し休んでていいよ。僕ひとりで、残り半分掘るから」
「はっ、半分?」
「そう。合計2メートルの落とし穴」
「それって、部長全身潜っちゃうじゃないっスか」
「うん。そうだよ」
「……そんなことしたら、部長に本気で怒られますよ?」
「大丈夫。怒られる前に埋めちゃうから」
「なっ…」
「邪魔者には、消えてもらわないとね」
「…………」
「どうしたの?」
「い、いや。何でも」
「そう」
「……それ」
「ん?」
「それ、本気っスか?」
「ふふ。さぁ、どうだろうね」
「………眼が、マジなんスけど」

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