234.アクビ(不二切) |
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「あふっ…」 朝とはいえない午前11時。それなのにも関わらず欠伸の絶えない彼に、僕は苦笑した。 「眠いなら、別に来なくても良かったのに」 「ふぁい?」 「だから。……まぁ、いいけど」 欠伸で答える彼に、今度は溜息を吐く。 どうしてもって言うから、荷物持ちをするならって条件でデートというか、一緒に散歩をしてあげてるのに。今日の彼はずっと欠伸ばかりだ。いつもはもう少し、でもないか。かなり元気に尻尾を振って僕の周りをくるくる回ったりなんかしてるのに。 って。もしかして、僕、今少しだけ不機嫌になってない? まさか。冗談でしょう。何で彼なんかに…。 「ふぁ?……なんスか、不二サン」 「別に。何でもないよ。……ねぇ、切原くん」 「赤也でいいって言ってるじゃないっスか。なんスか?」 「楽しい?」 「楽しいっスよ。…あふっ」 即答してくれたのは嬉しいけど。また、欠伸。眠いなら来なければいいのに。 「スミマセン、なんか、さっきから欠伸ばっかりしちまって」 僕の視線に気づいたのか、それとも自分の欠伸の量に悪いと思ったのか。彼は欠伸を噛み殺すと、僕に言った。 「不二サンから声がかかるのが久しぶりだったので、つい。コーフンしちゃって眠れなかったんスよ。バカっスよね。別に何かするわけでもないってのに」 「…………」 「不二サン?どうしたんスか?」 「ん?」 「……顔、ニヤけてますよ」 |
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