237.夢破れて(不二真)
「……不二」
「なんだい?」
「手塚に、俺の敗けだ、済まなかった、と伝えてくれないか。手塚が跡部に敗けたとき、たるんどると言ったが、今回たるんでいたのは俺たちの方だった。まさか、手塚のいない青学に敗けるなどとは」
「なに言ってるの。それはお互い様だよ。君のところだって幸村くんが不在じゃない」
「……それでも俺たちは」
「『勝たなければならない』。でもそれは勝てるというわけじゃない。どこかで意味が擦り替わっていたのだとしたら、君たちはある意味敗けて当然だったのかもしれないね」
「………油断などしてはいない」
「つもり、でしょう。『手塚不在の』なんて言ってる時点で、油断なんだよ」
「そう、かもしれんな。すまない」
「何が?」
「無自覚とはいえ、手塚の居ない青学をなめていた。すまない」
「いいよ。僕はそういうの気にしてないから。それよりさ。何で僕なの?」
「?」
「手塚への伝言。普通、部長代理に頼まないかい?」
「……いや。不二の方が手塚に近い気がしたのでな」
「近い、か。まぁ確かに、近いけどね」
「?……とにかく、頼んだぞ」
「了解」
「それと…」
「ん?」
「いや、何でもない。気にするな」
「……そう?ならいいけど」
「…………」
「真田」
「なんだ?」
「まだ手塚と試合したい?」
「当然だ」
「そう」
「不二?」
「僕は、君とも試合してみたいんだけどね」
「………」
「まぁいいや。上には幸村くんがいるしね」
「幸村の相手は越前か手塚だろう」
「じゃあ、僕はまた切原?まぁ、彼の成長は気になる所だから、別にいいけど」
「……不二の相手は、俺がする」
「へぇ」
「不満か?指名したのはそっちだろう」
「その指名に応じたのが意外だと思っただけだよ。全国で会えるのが楽しみだね」
「俺もだ。それまで、負けるな。王者立海に勝ったのだからな」
「………うん」
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