251.ほしい?(不二幸)
「いいや。いい」
「そう。なら、いいや」
「あっ」
「だって要らないんでしょう?」
「…………」
「要らないんだよね?」
「………あ、ああ。だけど、不二はそれで構わないのか?」
「うん。いいよ。幸村が要らないって言うなら、別に。他の人にあげるまでだし」
「他の奴?」
「うん。だって勿体無いし」
「それは、俺でなくても構わないとうこと?」
「うーん。出来れば幸村に貰って欲しいけど。ま、無理強いはさせたくないしね」
「………そう、か。なら――」
「いいよ、別に。無理しなくても」
「だが…」
「要らないんでしょう?」
「………う」
「要らないんだよね?」
「い、る」
「え?だってさっき要らないって」
「降参。嘘だ。否定の言葉を言ってみたかっただけ。それで不二がどう反応するのか試しただけ」
「なぁんだ。そうなの」
「気づいてたくせに。随分と意地悪なんだな、不二は」
「僕が意地悪なのは、知ってるでしょう。それに、意地悪なのはお互い様だよ。幸村だって、僕を試そうとしたんだから」
「失敗したんだ。そんなの、意地悪のうちには入らない」
「ふ」
「そんなことは、もう、いいから。だから、それ…」
「うん。いいよ。そんなに幸村が欲しいって言うなら、あげる」
「…………」
「何?不満そうな顔して」
「……いいや。ありがたく、いただくよ」
「そうそう。初めから素直にそう言っておけば良いんだよ」
「…………」
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