269.四重奏(不二塚vs跡部+真田+リョーマ+観月)
「他人と手を組むのは俺様の性にはあわねぇが…」
「なーにいってんスか。言い出しっぺのクセに」
「そうだ。大体何故俺が呼ばれなきゃならん」
「それはですねぇ…」
「てめぇにゃ訊いてねぇってんだよ。負け犬は黙ってろ」
「負けっ…。ボクがいつ負けたと!?」
「ジュニア選抜、選ばれなかったじゃねぇか」
「ふ、ふんっ。ボクはこれでも不二クンとは同じ班だったのですよ」
「だが、部屋は別々だったのだろう?」
「うぐっ…」
「そーいや、不二先輩、弟クンと同じ部屋になれたとかって、喜んでたっけ」
「なんだ。裕太(後輩)にまで負けてるのか、てめぇは」
「う、うるさいですよ、貴方たち。大体、そんなに文句を言うなら、何故跡部クンはボクを仲間に入れたんです?」
「仲間?ちげぇな。俺たちは目的は一緒だが、いや、一緒だからこそ、敵同士なんだよ」
「……へぇ」
「な、何故そこで俺を見るんだ、越前」
「いや…選抜のときとか、一緒にいて全然気づかなかったっスけど。真田サン、不二先輩のこと好きだったんだ」
「言われてみれば、そうですね。そんなこと、ボクのデータにもありませんよ。よく分かりましたね、跡部クン」
「ああん。分かんねぇ方が可笑しいんだよ。っと、まぁ、仕方ねぇか。越前は試合中だったし、観月(てめぇ)は応援席に居たんだからな。お前らに見せてやりたかったぜ。こいつが必死こいて不二に話し掛けてるのをよ。なぁ、真田」
「ちがっ…あれは不二と特定して話し掛けていたわけでは…」
「たるんどるっスね」
「だから違うと!」
「はいはいはい。もう、どうでもいいじゃないですか、そんなことは。それより、跡部クン」
「あん?」
「本当にやるつもりですか?」
「仕方ねぇだろ。取り敢えずは、アイツをどうにかしない限りは不二に手出し出来ねぇんだし」
「でも、手塚部長が不二先輩から離れたら…」
「そこからは、てめぇらの好きにすればいい。但し、俺様は誰にも譲る気はねぇけどな」
「それは俺だって同じっスよ」
「俺もだ」
「んふっ。甘いですね。ボクにはデータという強い味方がいるんですよ。キミたちが束になっても――」
「それだよ」
「はい?」
「いちいちムカつくてめぇを仲間に入れた理由は」
「成る程」
「そうっスね。観月さんのデータがあれば、不二先輩から手塚部長を引っぺがすことなんて簡単っスもんね。これで納得がいったっスよ」
「まぁ、それ以外、こいつの使い道、ねぇからな」
「それもそうだな」
「……………」

「ねぇ、手塚。何か面白いことになって来たみたいだよ」
「…………」
「即興のカルテットか。でも各々敵意剥き出しだから。僕は上手く行かないと思うんだよね。ねぇ、手塚はどう思う?」
「…………」
「手塚?」
「……だからお前と居ると碌なことが起こらないんだ。ひさ…」
「久しぶりの日本なのにね」
「…………」
「僕も、久しぶりの休日なんだよねぇ…」
「………うち、来るか?」
「珍しいね、手塚から誘ってくれるなんて」
「そんな眼で見られれば、誰だって察しがつくだろう。それに…」
「それに?」
「こうなった以上、お前と部屋でじっとしている方が安全だろう」
「…………」
「な、何だ?」
「じっと出来るかどうかは、保障できないよ?」
「……馬鹿」
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