303.屋根裏(不二←切+裕)
 秘密の場所を教えてやるから、協力しろ。
 不二裕太に言われて、オレは頷いた。
 こんなオレに頼むくらいだから、自体は相当切羽詰ってるってるらしいけど。でまぁ、これで不二サンに近づけるんなら悪くねぇし。
「っ、てこれ、マジかよ…」
 目の前に広がった光景に振り返ると、不二裕太は口に人差し指を当て、しーっ、と呟いた。
「兄貴は勘が鋭いから。物音立てると気づかれる」
「……向こうも見ていいか?」
 オレに追いついた不二裕太に、その先に同じような光源を見つけたオレは、それを指差していった。歯切れ悪く、不二裕太が頷く。
 出来るだけ物音を立てないように這って行くと、オレはそこから下を覗き込んだ。さっき見た穴からは不二サンが机に向かってる姿が見えたから、その先に不二サンがいることはないってわかってたけど。
 って。
「………へぇ。お前、なかなか良い趣味してんじゃん」
 後退して不二裕太のところに戻ると、オレは言った。
「あそこから不二サンと越前とのセックスみて抜いてんだ。まるでどっかのミステリ小説みたいだな」
「……誰が越前見て抜くかよ」
「だから、越前の顔に自分の顔貼っつけて想像してんだろ?」
 顔を真っ赤にして反論するから、オレは嘲笑いながら言ってやった。余計に、不二裕太の顔が赤くなる。
「やっぱ止めだ。お前は帰れ」
「ジョーダン。こんな絶景。ま、出来れば想像じゃなく、実際にヤって欲しいわけだが」
 言いながら、失言だったと思った。だが、不二裕太は妙にマジメな顔でオレを見つめると、小さく咳払いをした。
「………そこで、頼みがある」
「あん?」
「オレが帰ってるときならいつでもお前を屋根裏に上げてやるから、その代わり、どうにかして兄貴と越前を引き離してくれないか?」
「……いーけど」
 それって、オレが不二サンを貰ってもいいってことだよな?
「…ああ、けど」
 なんて、越前から不二サンを奪った後の事を色々と考えてると、思い出したように不二裕太が呟いた。
「そのまま兄貴を自分のものに出来ると思うなよ。兄貴から越前を引き剥がす為にオレたちは手を組むが、その後は敵同士だからな」
 言って、オレにニヤリと微笑ってみせる。その顔は兄弟ってだけあって似ていると思った。まぁ、だからなんだって感じだけど。
「おもしれぇ。やってやるよ」
 言うと、オレも不二サンのそれを思い出して、ニヤリと微笑って見せた。
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