330.冠(周裕) ※他校(周裕)『Holyday?』の翌日。
 裕太が、怒った。まぁ、怒るのも無理ないのかもしれないけど。でも、折角の清清しい朝なのに、挨拶すらしてくれないなんて。それは無いと思う。まぁ、おめでとうは日付が変わった直後に言えたからいいけど。
 でも、僕が悪いのかなぁ。だって、裕太が煽るから。
「ねぇ、裕太。おはようってば」
「うっせぇ。響くだろ」
 無茶苦茶しやがって。顔を赤くしながら呟く裕太に、僕は思わず微笑ってしまった。睨まれて、ごめん、と微笑いながら謝る。
「遅刻でもいいから授業出ようと思ってたのによ」
「え?出る気だったの?」
「…………うるせぇよ」
 僕を睨んでいた目が揺らぎ、視線がそれる。クスクスと声にして微笑うと、裕太の視界に無理矢理入り、キスをした。そのまま体重をかけるようにして、裕太を抱き締める。
「休日、休日。ね?」
「……わ、かったよ。けど、飯、どーすんだよ?」
「ん?」
「食堂行くわけにもいかねぇだろ」
 抵抗する力もないのか、裕太は僕に抱き締められたまま、少し苦しそうに言った。そんな裕太に微笑いながら、僕は裕太の頬に自分のそれをくっつけると、小さく首を振った。
「大丈夫。バースデイケーキ、持ってきてあるんだ。勿論、姉さんお手製のね。それに僕には、こっちもあるし」
 裕太から体を離し、ニヤッ、と最低な笑みを見せると、僕は背を丸めた。それに気付いた裕太が蹴りを喰らわそうとするから。
「おっと」
 その足を掴まえると、逆に広げてやった。裕太の機嫌が、また少しだけ悪くなる。
「やめろよっ、変態っ!」
「うん。変態。ほら、また声大きくなってるよ」
 しーっ、とピンと立てた人差し指で裕太の唇に触れると、思い切り噛まれた。けど、昨日裕太が声を抑える為に散々噛まれていたからさほど痛いとは思わなかった。慣れって凄いものだと、こんな所で妙に納得する。
「裕太、ほら、機嫌直してよ。ちゃんと、気持ち良くしてあげるから」
 ね、とまた最低な笑みを投げかけると、裕太のソレに僕は舌を這わせた。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送