335.指先(不二塚) ※ドリーマーに100のお題『077:大暴れ』の続き。
「はっ、ぁ…」
 不二が、オレをじっと見つめている。それだけで、オレのそこは容易く液を滲ませた。屈辱的な行為のはずなのに、襲ってくる快楽と、それ以上に不二の視線がオレの指先を動かしていた。
「不二っ、も」
「まだ駄目だよ。後ろも、使ってるんでしょ?」
 オレに近づき左手をとると、不二はその後ろへと導いた。抵抗すること無く、促されるままそこに指を挿れる。
「っ」
「へぇ。慣れたもんだね。ああ、まだ逝っちゃ駄目だよ」
 言われて、オレは右手で栓をするようにそれを持った。左手はそのまま指を増やし、先へと進める。
 不二の誘いを断って家へ帰ったオレは、昂ぶった熱を一人で昇華していた。激しい嫌悪と快楽が通り過ぎ、そのままベッドで丸くなっていたら、不二に見つかった。突然飛び出したオレを心配して、来たらしい。電話をかけたらしいのだが、オレは行為に夢中で気付かなかったから。
 不二に見つかった時、嫌われると思った。今までオレに抱いていた幻想が崩れたから。オレはこんなにも穢れていて。
 だが、不二は口元を歪めて微笑うと、オレにもう一度、目の前で自慰をするように言った。そんなこと、出来るはずがないと思ったのだが、不二に促され、あっさりとオレはそれに従った。
「もう、いいだろう?」
 滲んだ液でそこを戒めておくのがきつくなる。不二を見つめ頼み込むと、不二はクスリと微笑った。
「勝手に逝けばいいじゃない。塞いでるのは自分なんだよ?」
「だが、お前が逝くなとっ」
「だったら、左手、止めれば?それに、別に僕の言葉なんて絶対じゃないわけだし」
 現に君は、何度も僕の誘いを断っているしね。少しだけ淋しそうな声色で言うと、不二はオレの右手に手を添えて動かした。
「っああ」
 もう、限界ギリギリのところまで来ていたから。少し擦られただけでオレは簡単に精を吐き出した。後ろに入れていた指を抜き、深く息を吐く。
「手塚…」
 荒い呼吸をしているオレの上に跨ると、不二は汚れたオレの右手を見えるように掲げた。オレの視線がそこに行ったのを確認し、指先を口に含む。
「やめっ」
「……これが、手塚の味、か」
 オレの指先についたモノを綺麗に舐めとると、不二は呟いた。どうにかして止めさせたかったのだが、オレの汚れた手では不二に触れることは許されない気がして、結局最後まで、言葉での無意味なしか抵抗が出来なかった。
 綺麗になって不二の口から出てきた指。その手も、不二の顔も見る事が出来なくて。オレは眼を閉じた。
「これで、理解っただろう?オレはお前が思っているような綺麗な人間じゃない。幻滅しただろう?嫌いになっただろう?なら、早くっ」
 出て行け、とは言えなかった。その前に、口を塞がれた。生温かいモノに、舌を絡めとられる。
「嫌いになんて、なれないよ。それでもやっぱり、君は手塚国光だ。誰よりも真っ直ぐで、綺麗」
 眼を開けたオレを真っ直ぐに見つめると、不二はそう言った。もう一度、今度は触れるだけのキスをし、微笑う。
「ねぇ、手塚。手塚は、僕のこと嫌いになった?こんな、非道いことをお願いした僕を」
「……嫌いになんてなれる、はず、ないだろう。それに、酷いことだとも、思っていない」
「そう。良かった」
 安心したように呟くと、不二は指先を先ほどまでオレが自分で触れていたそこに滑らせた。
「不二っ!?」
「手塚、まだ体力あるでしょう?どうせだから、このまま…」
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