336.裁きの日(不二リョ) |
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「反省、してんの?」 「うん。まぁね」 「……ウソツキ」 呟くと、俺は先輩の前に置いてある椅子に座った。そこから、正座をしている先輩を、見下ろす。 「あれは、故意なんスよね?」 「そうだよ」 「理由は?何であんなこと」 あっさりと罪を認めた先輩に、俺は少々苛立ちながら言った。それとは反対に、反省してると頷いたはずの先輩は、顔を上げると微笑った。 「リョーマに、やきもち妬いてもらおうと思って。まぁ、作戦は成功を通り越してこんな事態になっちゃったわけだけど」 反省してる。呟いた先輩は、苦笑した。 けど。俺は許せるはずもなかった。幾ら先輩にその気がなかったとは言え、俺にやきもちを妬かせるためとは言え、部長とキスするなんて。 「リョーマ。怒ってる?」 「当たり前じゃないっスか。今までカル相手ならまだしも」 「それじゃ、意味ないじゃない。最近はリョーマ、僕がカルピンとイチャついてても全然気にしないでゲームしてるしさ」 「アンタは罪人。口答えは厳禁」 「はいはい」 睨み付ける俺に、しょうがないなぁとでも言うように、先輩は微笑った。これじゃあ俺が勝手に我侭言ってるみたいだ。ムカつくから。本当は気にしてないフリをしてるだけなんだって言おうとしたけど、言わないことにした。喜ばせるだけだし。あ、でも、言わなきゃまた、同じこと繰り返すかも? 「……リョーマ?」 「な、何でもないっスよ」 考えていたことを見透かされたわけじゃないだろうけど。じっと見つめる先輩に、俺は焦った。そうだ。本当のことは言っちゃいけない。俺はこれから、先輩に罰を与えなきゃなんないんだから。 「コホン。で。えーっと。アンタは反省してるんスよね?」 「してるよ」 「悪いことをしたと思ってる?」 「うん」 あっさりと返ってくる答え。どう見ても、反省してるようには思えない。 「あ。リョーマ、疑ってるでしょう?僕が反省してないんじゃないかって」 「そ、んなことないっスよ」 「そう?ならいいけど」 眼をそらした俺に、先輩は相変わらずの軽い口調で言うと、微笑った。これじゃ、どっちが裁きを受けるのか、わからないじゃん。これだから、先輩相手に怒るのは嫌なんだ。 でも。やっぱ、今回ばかりは許せないから。 「悪いと思ってんなら、それ相応の罰は受けてもらうっスからね」 「……うん」 厳しい声で言うと、先輩はやっと笑顔を崩し、真剣な顔で頷いた。 椅子から立ち上がり、先輩を見下ろす。咳払いをすると、俺は大きく息を吸い込んだ。 「不二周助。アンタへの罰は――」 |
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