360.逆(不二乾)
「たまには、逆になってみたいと思うことはないか?」
 圧し掛かる僕の額を押しやると、乾は言った。その手をとって、ベッドにしっかりと押し付ける。
「何?」
「ぱっと見で皆が想像するような関係に、一度くらいはなってみてもいいとは…」
「思わない」
「……思わない、か。そうだな。不二はそういう人間だ。人には何事も経験だって言うくせに」
 すっぱりと言った僕に諦めたのか、乾は溜息をつくと、手の力を抜いた。もう押し付ける必要がなくなったから、僕の手は彼の手から胸へと移動する。
「あ。でも」
「?」
「まぁ、一度くらいなら、逆になってみてもいいかな」
「………本当にいいのか?」
「うん。重いのは嫌だけど、まぁ、頑張るよ」
 クスクスと微笑う僕に、乾は多少嫌な予感がしたのだろうけど。そのまま勢いに任せて、僕は体の位置を交換した。きっと、僕と乾が付き合ってるといったら、皆が想像するような光景。身長差から言っても、これが打倒。
 でも、やる事は。逆になっても、結局同じ。
 僕の服を脱がす乾の手をとって引き寄せる。触れるだけの口づけをかわすと、僕は微笑った。
「何を微笑ってるんだ?」
「ううん。乾も、結構大胆なんだな、って思って」
「?」
「だって、今日は乾が自分で入れて動いてくれるんでしょう?重いとか何だとか、言ってられないよね。僕も頑張らなくちゃ」
「なっ…」
「だって今更。どうせ乾は僕からの刺激がなきゃ、満足出来ないでしょう?」
 僕の言葉に固まっている乾にもう一度キスをすると、僕はその気にさせるように乾のそこに触れた。
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