361.箱(ブン→不二切)
「で。なんでアンタがここに居るんスか?」
「何でって。だって今日は不二とデートなんだろ?」
「そうっスよ」
「だから居る」
「だからっ。何でそうなるんスか!」
「ムカつくから」
「…………」
「あ。ほら、不二が来た!」
「え?って。居ないじゃないっスか」
「バーカ居るって。ぜってー近くに居る」
「……何でんなこと分かるんすか?」
「ラズベリーパイの匂い、しね?」
「…………確かに。って。何でアンタがそれ知って…」
「秘密」
「…………」
「…………」
「っそ。じゃ、さっさとどっか行って下さいよ。アンタ邪魔っスから」
「嫌だね」
「っ。良いから、退けって――」
「こら、赤也」
「あ。不二さ…」
「不二!ひっさしぶりぃ」
「ああ。えーっと。丸井、くんだっけ」
「ブン太でいいよ。あ、ブンちゃんって呼んでくれてもいいかな」
「………不二サンっ。こんな奴ほっといて、早く…」
「こら、赤也。仮にも先輩なんでしょう?そんな口きいちゃ駄目じゃない」
「だって。久々のデートなんスよ?」
「なぁなぁ、不二。この箱って、もしかして…」
「ああ。これ?うちの姉さん特性の、ラズベリーパイ。赤也と食べようと思って持ってきたんだけど。丸井くん、食べる?」
「ちょっ、不二サン!」
「マジ?いいの?食う食う!」
「あはは。犬みたいだね。ねぇ、そう思わない?赤也」
「……犬はオレだけで充分っスよ」
「ほら。そんなに拗ねないでよ。じゃあ、丸井くん。これ、あげるから。ね?」
「おう。……って。へ?」
「あげるから。もうこれ以上僕たちに付き纏わないでね?」
「不二サンっ」
「こら、赤也。抱きつかないの。身動き取れなくなるでしょう?」
「だって。オレ、てっきり…」
「分かったから。ほら、手、解いて。いいの?こんな所で時間くっても?」
「あ、そうっスね。そうでした。じゃあ、早く行きましょ」
「ふふ。じゃあ、そういうことだから。丸井くん。バイバイ」
「そういうことっスから。丸井先輩、バイバイっス」
「………って。おい。ちょっと、待てよ。不二っ!赤也っ!」
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