運命論って知ってるかい?一切の出来事はあらかじめ決定されていて、なるようにしかならず、人間の努力もこれを変更し得ないと見る説なんだって。ああ、広辞苑からの引用なんだけどね。要は、初めっから全て決まってるってこと。どんなに抵抗しても無駄だってこと。
 何でこんな話をしだしたかっていうとね。ちょっと、思い出してね。その誰かの無駄な抵抗をさ。まぁ、裕太なんだけどね。うん。そう。僕の弟。好きなんだ。
 裕太が元々は青学に居たのは知ってるよね?それで、僕と比べられるのが嫌だからって聖ルドルフに行ったって。あれはね、僕と兄弟で生まれた限りは比較されつづける運命にあるんだよって言った僕に反抗してのことなんだ。運命なんか変えてやるってね。
 でもさ、運命ってのが見えてなければ、変更することも無理だと思わないかい?運命に抗うことも流されることも、全てが初めからプログラムされていたものだとしたら。裕太は、それに気付かなかったんだ。
 裕太が出て行ったのは、僕から離れなくなるための行動のひとつでしか無かったんだよ。何でそんなことが分かるかって?僕はね、自分の運命は見えないけど、裕太の運命なら見ることが出来るんだ。でも、裕太がルドルフにすんなり行った時はちょっと驚いたかな。僕に見えてる裕太の運命では、裕太は僕から離れられないってことになってたからね。まぁ、長くても中学を卒業するまでには僕のところに戻ってくることは分かってたから、それほど焦らなかったんだけどさ。それに、ルドルフに行くって言う裕太の行動も、僕から離れられなくなる為に必要な選択だったみたいだし。
 ほら、現に。聞こえない?僕を呼ぶ裕太の熱っぽい声。ね。なかなか色っぽいだろ?ああ、あのブーンて音ね。あれは、まぁ、裕太を気持ち良くさせる為の玩具かな。気持ち良くって言っても、体だけだけどね。裕太の心は僕を欲してるからさ。だからほら、必死に僕を呼んでる。可愛いよね。
 そうそう。話は戻るけど。裕太が居ない間ってのはさ、結局は戻って来るんだと分かってても、辛いもんなんだよね。でもきっと、自分の運命が見えてなかった裕太の方が辛かったんだと思うんだけどさ。だから僕は、少しでも裕太が早く僕の元に戻ってくるように、敷かれたレールの上を走るその速度を変えてあげたんだ。まぁそれも、もしかしたら僕の中にプログラムされていた行動なのかもしれないけどね。
 どんなことをしたかって?簡単だよ。その気にさせたんだ。少しだけ酷く、それ以上に甘いことをしてね。ああ、勿論、耳元で愛してるって囁くのも忘れてないよ。ちょっと寒い科白だったけど、あの熱さの中では丁度良かったみたい。溜まってたからなのか、元々淫乱だったからなのか、相手が僕だからなのかは分からないけど、裕太は貪欲に僕を求めてきてくれたよ。まぁ、愛してるっていう科白は多少効いてたみたいだけどね。一度君にもその姿を見せてあげたいけど。あんな淫らな裕太を見て良いのは僕だけだからさ。ごめんね、声だけで。
 その日からだよ。裕太がしょっちゅう家に帰ってくるようになったのは。完全に僕から離れなくなったのは。うん。そう。結局裕太は僕から離れられなかったってわけ。ルドルフに行ったことも、運命なんてモノを創った奴の手の中で踊らされてただけなんだよ。
 え?その後?さぁ、どうなるんだろう。取り合えず僕に分かってるのは、裕太はこのまま一生僕から離れられないってことだけ。僕の方はどうなんだろうね。でももしこれで僕が他のヒトと結ばれる運命にあるんだとしたら、ちょっと面倒だよね。だってほら、裕太がストーカーになっちゃうじゃない。そうなったら殺すしかないのかなぁって思うけど。ああ、冗談だよ、冗談。まさか僕でもそんなことはしないって。なんて言っても、結局はプログラム次第なんだけどさ。あ。ごめん、ごめん。また不安にさせるようなこと言っちゃって。
 取り敢えず今は僕も裕太に夢中だからさ。安心して見守っててよ。うん。あ、じゃあ僕はそろそろ裕太のところに行くね。なんか、もう裕太、限界みたいだからさ。あはは。うん、頑張るよ。じゃあ、またね。





これってドリームになるんですかね?(ドリームは一度くらいしか呼んだことないので何とも…)
こういう書き方、一度してみたかったんですよ。ええ。なので、やってみました。
ちょっと、読みづらかったかな。改行ないし、括弧とかないし。
ちなみにアタシは運命なんて信じたくない派ですがね。
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