5.5時半(A.M.)
「いい加減にしてくれないかな」
 アラームを止め、毛布のなでごそごそと動き出している彼に言った。何とか目を開け、上体を起こしている彼を眺める。
 適度に引き締まった体。所々に見える赤い模様は、僕がつけたものだ。昨夜といわず、その前の夜も、さらにその前も、ずっと。
「もう大会は終わったんだよ、跡部」
「うるせぇ。お前はこれで終わりかも知れねぇが、俺はこれからもテニスを続けるんでな」
「だからって。僕が泊まりに来てからも、毎日だよ? 体、疲れてるのに朝のランニングなんて。過ぎたるは及ばざるが如しって言葉、君はよく理解してるだろ?」
 体を起こし、彼の背中を抱きしめる。腕を引き剥がそうと彼の手が動いたけれど、僕は動じなかった。離さないという思いをこめて、さらに強く抱きしめる。
「離せ」
「嫌だ」
「苦しいだろうが」
「跡部においていかれる僕の方が苦しいよ」
「だったらお前も走るか?」
「それはもっと嫌かな」
 僕の言葉に、彼が深い溜息をつく。それが諦めの合図だと知っている僕は、手を離して彼の顔を覗きこんだ。
 頬に手を添え、そっと口付けを交わす
「恋人同士の朝は、もっとゆっくりとしないとね」
 静かに彼の体をベッドに沈め、その上に圧し掛かる。自分がつけた痕跡を辿るようにキスを落としていると、強く髪を掴まれ引き剥がされた。
「痛いよ、跡部」
「てめぇこそ、いい勘にしやがれ。なんだかんだいって、いつも俺を引き止めやがって。今日で何日目だと思ってやがる」
「さぁ? 忘れちゃったかな」
 意地悪く微笑み、彼の手を解く。啄ばむように口付けを繰り返していると、再び彼の手が僕の頭を掴んだ。
 けれどそれは僕を引き剥がそうとはせず、寧ろ、もっと深く唇が重なるようにと抱き寄せてきた。
「俺様の体力が落ちたら、責任取れよ」
「大丈夫。毎日こうしていれば、体力は落ちないから」
 キスを繰り返したせいだけではない赤い顔で言う彼に、僕は微笑って返すと、指先で昨夜の跡を辿り始めた。




早寝早起き。ベ様は隠れ努力家。
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