「っは。……はぁ」
 荒い二つの吐息が、薄暗い部室に響く。
 その片方が静かになってきた頃、不二はリョーマから体を離した。リョーマのそこから、どろりとしたものが流れ出てくる。だが、リョーマはやっと解放されたというのに、微動だにしなかった。冷たいコンクリートの上に横になったまま。
 そんなリョーマに、不二は薄笑いを浮かべると、自分の体についたものだけを丁寧に拭い、制服に着替えた。その間も、リョーマは放心していた。荒かった息は、大分落ちついて来てはいたが。
「そんな余韻に浸るほど、善かったんだ」
 クスリと微笑い、リョーマの足元にまわると、不二は持っていたカメラにその姿を収めた。そのフラッシュを切欠に、リョーマは散らばったままになっていた理性を掻き集めた。体はまだ情事の気だるさに痺れていて動かないため、目だけを動かし、不二を睨む。逆光になっていてよく見えないはずなのに、その眼は、しっかりと不二の眼を捉えていた。
「こんなことして、ただで済むなんて思わないでくださいよ」
「……ふふ」
 その視線を交わさず笑顔で受け止めると、不二はその体に再び跨った。頬に触れ、深く口づけを交わす。
「ただで済むなんて思ってないよ。これから僕たちは一緒に罪を重ねていくんだから」
 リョーマの体に付着しているモノを指で掬い、それを美味そうに口に含むと、クスクスと微笑った。立ち上がり、ベンチへと腰を降ろす。
「言っておくけど、リョーマ」
「……吐き気がするんで、気安く名前を呼ばないでくれません?」
「これは失礼。でも僕は周助って呼んでくれても構わないよ、越前」
「安心してください。俺はもう二度と、アンタの名前なんて呼びませんから」
「随分と冷たいんだね。僕たちは共犯者だって言うのに」
「……きょう、はん?」
「そう。共犯」
 クスクスと微笑いながら頷くと、不二はもう一度シャッターを切った。リョーマが訝しげな顔をする。不二はそれもカメラに収めた。
「安心して。これを使って君を脅そうなんてことはしないから。これは証拠。僕と越前が共犯者だっていう、ね」
「……俺は、被害者だ」
「あんなに感じてたのに?」
「!」
 不二の言葉に、リョーマは固まった。眼を逸らし、天井をじっと見つめる。
「別に、学校や警察に言っても良いんだよ。でも何て言う?部活の先輩に、男に、犯されましたって?途中で抵抗を放棄して、突っ込まれて、女みたいに嬌声を上げて、射精までしちゃったけど。本当は嫌で嫌で仕方がなかったんです。犯されたんですって?」
 言いながら不二は立ち上がると、リョーマの視界に入ってきた。じ、とその眼を見下ろす。
「まさか、言えないよね。プライドの高い君が、そんなこと」
 クスクスと微笑いながら、しゃがみ込む。今度は頬にではなく、下に手を伸ばした。自分を受け入れていたそこに指を入れ、中のモノを掻き出す。
「っあ」
 その指の動きに、リョーマは腰を揺らした。それは、まだ刺激が足りないと言っている様にも見えた。不二の口元が、吊り上る。
「いや、寧ろ僕が被害者なのかもしれないな」
「なに言って…」
「君がそうやって僕を誘うからだよ。ねぇ、まだ足りないの?」
 言うと、不二は着たばかりのシャツのボタンに手をかけた。それが何を意味するのか理解したリョーマは、首を横に振ろうとした。だが、それは出来なかった。
「やっぱり、誘ってるでしょう」
 シャツを投げ捨て、リョーマの上に覆い被さると、不二はその眼から溢れ出している涙を舌で拭った。そのまま、唇を深く重ねる。
「大丈夫。これからは幾らでも、君の満足するまでしてあげる。僕たちは、共犯者なんだから」
 抵抗する意思も見せずただ泣きじゃくるリョーマに、不二は微笑うと、指先を滑らせた。





……いや、だってさ、耳元で「淫乱の犬」なんて囁かれたらさ、書いちゃうじゃん、こういう話。(※ヘッドホンして曲を聴いていただけ)
祭りなのでね。ちょいとエロいのもさ。
ってか、三人称で不二リョを書くとき、いつも「リョーマ」か「越前」か悩むんだよね。むむぅ。
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