「リョーマ…」
 呟いて、その小さな体を抱き締める。
「ん」
 僕の問いかけになのか、抱きしめられたことになのか、それとも偶然か。どれだかは知らないけど、彼は小さく声を漏らした。僕の胸に、猫みたいに顔を埋めてくる。
 可愛いなぁ。いつも、そう思う。笑ってても、怒ってても、何をしていても。おチビ馬鹿だと、英二によく言われるけど。反論はしないし、するつもりも無い。だってそれは、僕も、彼も認める所だし。
 背中に合った手をずらし、彼の髪をそっと撫でる。すると、彼はもぞもぞと僕の首と顎の間に頭を挟んできた。本当はその髪に唇を落としたかったのに。仕方が無いから、顎でその頭を優しく挟んでやる。こうしてると、本当に猫みたいだ。
 いっそのこと猫だったら良かったのに、と思うことがある。そうすれば、ずっと僕の膝の上で、守ってゆけるのに。猫は勝手気侭だと言うけれど、彼ならきっと、甘えたがりな猫になるだろう。
 現時点でも、勝手気侭に見せかけておいて、結局は僕に甘えてきているわけだし。ああ。だったら別に、猫にならなくても同じなのかもしれない。膝に乗せておくには、少々重いけれど。
「ねぇ、リョーマ」
「………ん?なに?」
「ああ、起きたんだ」
 寝惚けた声。それでも、言葉が返ってきたことに、僕は内心驚いた。彼の頭が、僕から離れる。
「起こす為に、呼んだんじゃないの?それとも、ただの独り言?」
「……独り言、に近いかな」
 呟く僕に、変なの、とでも言うように彼は顔をしかめた。クスリと微笑い、額にキスをする。
「独り言をいうくらいなら、俺、起こしてくれていいっスから」
 もう一度見つめあうと、彼は少し照れたように言った。何、と訊き返すと、唇に温もりをくれた。
「一緒に居るんスから、俺に話してくださいよ」
 真っ赤な顔で、呟くように言う。それでも、真っ直ぐな眼は僕から離さなかったから。
「そうだね。以後気をつけるよ」
 その眼に笑顔を映すと、その唇に自分のそれを深く重ねた。強く、抱き締める。
「あったかい」
「うん。僕も、温かい」
 また僕の顎と首の間に頭を埋めてくる彼に頷きながら。伝わってくるこの温もりだけは守り抜こうと、密かに誓った。





最後なのに、短くてスミマセン。でも、気に入ってるのでいいです(笑)。
一緒に寝てるとね、顎と首の間に顔を埋めてくるんですよ。だから、それを顎で挟んでやるの。そうすると、息が出来ないから、暫くして「ふがっ」ってなるの。うちの猫が(笑)
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