after talk
「ほたるはとおちびちゃんは?」
「今寝たばかり。だからまだ、行かない方がいいわ」
「そうだな」
 みちるの言葉に頷くと、はるかは自分の隣を叩いてはみちるを呼んだ。吸い込まれるように座ったみちるの髪を解き、そのまま肩を抱き寄せる。
「お疲れ様」
「せつながね」
 向かいのソファで毛布を掛けて眠っているせつなにみちるは言った。はるかもせつなを見ては思わず微笑む。
「内心一番はしゃいでたのはせつなだろうな」
 呟いたはるかは、数時間前の出来事を思い出した。
 誰が発起人だったのかは知らないが、はるかたちの家でクリスマスパーティをすることになり、うさぎたち内部の人間が遊びに来ていた。そこには、未来に帰ったはずのちびうさもいて。騒々しさの応対をしながらも、せつなは始終顔を綻ばせていた。
 夜も更け、ほたると一緒に泊まるというちびうさだけを残し全員を帰すと、その世話をせつなにまかせ、はるかとみちるは荒れに荒れた部屋を片付けた。
 そうしてようやく落ち着いた頃には、大人しくカードゲームに熱中している二人の横で、せつなは眠りについていた。
「きっと、今までで一番賑やかなクリスマスだったんでしょうね」
「それは僕だって同じさ。君は、どうだか知らないけど」
「私は……」
 私も同じ、と頷こうとして、みちるは言葉を止めた。賑やかさや華やかさなら海王家で行われるパーティの方が比較にならないほど上であるし、また楽しさという項目においてはそれまではるかと二人で過ごしたクリスマスと較べることは出来なかった。
「もう。いじわるなこと訊かないで」
「なんだよ」
 むくれたようなみちるの声に、はるかは苦笑した。やはり賑やかさは自分と出会うまでにみちるが体験してきたものには敵わなかったかと、内心で溜息を吐く。
「でも。楽しかったわ。初めてするようなこと、沢山あったもの」
「まぁ、そりゃ、そうだろうね」
 うさぎ達が持ち寄ったボードゲームの数々は、知識としては知っていたもののみちるは経験したことのないものばかりだった。はるかは支離滅裂なうさぎたちの説明を真剣な表情で聞いているみちるを思い出し、思わず笑った。
「どうして笑うの?」
「筆を握る時よりも真剣な表情をして、お団子頭たちの説明を聞いてたなって思ってさ」
「それでどうして笑うのよ」
「可愛かったよ、みちる」
 目を細めて囁くようにはるかが言う。その急な変化についてこられなかったみちるは、思わず赤面した。なによ、と呟いてソファに背をつける。
「みちる?」
「それじゃあ、今の私は可愛くないとでもいうのかしら?」
「まさか」
 怒らせたのかと思ったが、呟くみちるの頬の赤みに気付いたはるかは苦笑すると、その顔を覗きこんだ。
「そうやって。素直じゃないみちるも充分可愛いよ」
 熱くなったみちるの頬に、冷たいはるかの手が触れる。その手に自分のそれを重ねたみちるは、もう、と呟くと、引き寄せられるようにして唇を重ねた。



「……さて。そろそろプレゼントを配りにいこうかな」
「ねぇ。せつなはどうするの?このまま寝かして置くのもちょっと」
「そうだな。じゃあ僕が部屋まで運ぶよ」
「それは、ちょっと」
「言うと思った。毛布、あと二枚持ってくるよ。いや、一枚で充分かな」
「はるか?」
「別に、明日何か用事があるわけじゃないんだし。僕たちもここで寝よう。祭の後って、目覚めた時独りだと、結構淋しいもんなんだぜ?」
「そうね。……ああ、じゃあせつなへのプレゼントは?」
「そこに置いといてやろう。……メリークリスマス、せつな」
「メリークリスマス」


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