蔵飛編

「――と、言うことで。祝ってください」
「は?」
「だから。祝ってください」
「……何で俺が貴様を祝う必要がある?」
「何でって…。嬉しくないんですか?」
「何が」
「オレたちが一緒に暮らし始めて一年なんですよ?」
「誰と誰が一緒に暮らしてるって?」
「オレと。飛影が」
「誰がっ」
「じゃあ何で、こうも毎日オレのところに来るんです?」
「……それはっ」
「それは?」
「いい加減、パトロールに飽きたからだ」
「そんなのサボればいいじゃないですか」
「だからここに来てるんだろうがっ」
「人間界、他に行き場がないんですか。可哀相に」
「………帰る」
「帰るって。何処に?貴方の帰るべき場所はここなのに?」
「………………ちっ」
「あ。帰る場所はオレの所だって思っていてくれたんですね。嬉しいっ」
「きっさま。……うるさいっ、離れろ!」
「離れたら祝ってくれます?」
「だから何で俺が祝わなければならん」
「何度も言わせないでくださいよ。今日はオレたちが――」
「それは分かっている。だから、何故俺だけが祝わなければならないんだと訊いているんだ」
「………。えーっと。じゃあ、二人でお互いを祝います?」
「………な、なんだ、その不気味な笑みは」
「いやぁ、二人でって言ったら、することは一つでしょう?」
「っ。止めろっ。おい。蔦を解けっ!!やっ……」

(2005/9/8)

蔵コエ編

「コエンマ様」
「……わしは祝わんぞ」
「あれ。見てたんですか?悪趣味…」
「……見ているの分かっていて、あんなのを見せつけるほうが悪趣味だと思うが?」
「あんなのって?どんなのです?」
「…………」
「ああ。じゃあ、やって見せてくださいよ。あなたの言う、『あんなの』を。指示してくれれば、オレも手伝いますから」
「……お前。散々飛影とヤってきたばかりだろうっ!やめっ」
「飛影は飛影。コエンマはコエンマですよ」
「……奴も気の毒よの。こんな奴に好かれおって」
「じゃあ、その『こんな奴』を好きな貴方は、もっと気の毒ですね。それとも、幸運?」
「…………さぁな」
「まぁでも、少なくとも、体は幸運だと思ってるみたいですね」
「っ」
「あれ?抵抗しないんですか?」
「あやつも途中から抵抗を止めただろう」
「……しっかり憶えてるんですね。あ。もしかして、それを見ながら――」
「うるさいっ!いいから、さっさと終わらせてとっとと帰れ!」
「はいはい。……あー、でも、さっさとは終わらないと思うんですけど。それは貴方も知っているでしょう?」
「…………」
「あ、あと。オレこの後も行く所あるんで。終わっても、帰れないんですよね。ふふふっ」
「…………」

(2005/9/9)

蔵黄泉+修編

「……さて、と」
「おお!待っていたぞ、蔵馬。早速私が祝ってや――」
「お前は必要ない」
「がっ…」
「あ。蔵馬!」
「久しぶり、修羅くん」
「……く、蔵馬。愛が、痛いぞ…」
「ねぇ、蔵馬」
「ん?何だい?」
「パパがね、蔵馬はパパに用事があって来るんだから、僕にどっかいってろって言ったんだ」
「へぇ…」
「それはそうだろう?修羅の教育に悪いじゃないか!」
「…………」
「ねぇ、蔵馬。蔵馬も、僕にどっかいって欲しいと思ってる?僕、邪魔?」
「そんなことないよ。オレは修羅くんに会いにきたんだ。寧ろ邪魔なのは、パパの方だよ」
「そ。良かった。……だってさ、パパ。ねぇ。早くどっかいってよ」
「しゅ、修羅…」
「早くどっかいってくれないか?」
「蔵馬まで…。冗談だろ?」
「悪いが。オレは疲れてるんだ。お前の相手なんて――」
「わ、分かった。今、茶を入れてくる。甘いものも食べるか?疲労回復だ」
「……そうだな」
「えーっ、蔵馬疲れてるの?じゃあ、僕と遊べない?」
「ううん。修羅くんとは遊べるよ。ただ、パパの相手をするのが面倒なだけ」
「そっか。良かった」
「……………ぐすん」←黄泉

(2005/9/11)
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