真夜中の五分前
「眠れないのか」
 開け放たれたままの窓に立つなり、彼はそう言った。頬杖をとき、微笑みながら首を傾げる。
「どうして、そう思うんです? まだ、それほど遅い時間じゃないのに」
 彼の立つ窓の上に掛けられている時計を見る。短針はまだ、11と12の間。風邪を引いたときくらいしか、オレはこの時間に眠ったりはしない。
「起きているのなら、貴様はいつも何かをしているからな」
「遠くから覗くくらいなら、屋根のあるところで観察すればいいのに」
「うるさい」
「それに。人間は妖怪と違って、することが無いからと言って眠ったりはしないんですよ」
「貴様は妖怪だろう?」
「あなたの前では、ね」
 ふぅ、と溜息を吐き、立ち上がる。いらっしゃい。微笑みながら手を差し伸べる。けれど彼は部屋に入ろうとはしなかった。
「待ってたんです。ずっと。あなたの気配を、人間界に感じたから」
 強引に手をとって、抱き寄せる。一瞬、彼が靴をはいたままだということが頭を過ぎったけれど、それは人間の考えることだからと思い直して。オレはそのまま彼をベッドへと運んだ。



タイトルは本多孝好です。
飛影の前では、妖怪でいたい蔵馬とか、萌える。
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