イイコト。 ※R-18
 イイコトを教えてあげる。
 そういうと蔵馬はベッドに胡座をかいて座っていた俺の背後へと回った。手を伸ばし、腰のベルトを外してくる。
「何をしている?」
「人間界では欲を満たすためにそこらへんにいる奴を犯したら犯罪ですから」
「何の話だ」
「欲求不満になったときの対処法。学ばないとね」
 フェラしてあげてもいいんだけど、それは一人じゃ出来ませんからね。楽しげに言い、くつろげたズボンからイチモツを取り出す。排泄以外で触れることなどなく、ましてや他人に触られたことなど無いので無様にも俺は慌てた。大丈夫。耳元で息を吹きかけるように囁かれる。
「オレの手の動き、ちゃんと見て、覚えて」
 蔵馬の長い指がやんわりと握りこむ。輪にした指を何度か前後させると、垂れていたイチモツが硬くなってきたように思えた。下腹部にくすぐったいような妙な感覚が溜まっていく。
 堪えきれずと息を漏らすと、蔵馬の笑い声が耳元に響いた。
「あっ……」
 それまで前後していただけだった指が、先端を軽く押してくる。俺の口からは熱い息と共に声が漏れ、体に小さな衝撃が走った。
「飛影、目をそらさないで」
 蔵馬に背を預け天井を仰いで呼吸をしていた俺は、穏やかながらも有無を言わせない声に視線を戻した。迷いのない指先の動きに、ヤメロとその腕から抜け出したくなる。それが出来ないのは、蔵馬が強く俺を抱いているからではなく、体に上手く力が入っていかないためだった。
 どうしたというんだ、俺は。自分の体の熱さに戸惑う。派手にやられた傷口が熱を持った時にも似た、だが痛みの無い熱。
 だが、悪くは無い。そう思い、蔵馬の指に身を委ねようとしたとき、体の奥からまた別な感覚が湧き上がってきた。
「ヤメロ。それ以上は、触るな」
 切れ切れの声で言い、なんとか蔵馬の手首を掴む。引き剥がそうとするが、蔵馬は笑うばかりで取り合ってくれない。ふざけている場合ではないというのに。
「随分と早いですね。大丈夫、我慢しないで出してください。大体それが目的なんですから」
 イチモツをいじる手の動きが早くなる。聞こえてくる水音に目を凝らすと、既に先端から何かが漏れ出していた。そのことに羞恥を覚え目を伏せると、蔵馬は、かわいい、などと戯言を呟いた。普段なら切りかかるのだが、やはり今はそれができない。
「貴様っ、いい加減に」
「いいから」
「っああ」
 強い刺激に促されるように、俺のイチモツは蔵馬の手の中に何かを吐き出した。自分で予想していたものとは違う白い粘液のようなものが、蔵馬の掌に溜まっていく。
「随分と溜め込んでいたんですね」
 ベッドの隅に置いてあったティッシュで丁寧に手を拭う。俺のイチモツも蔵馬に拭われ、それはやはり羞恥が伴ったが、粘液を漏らしたことが及ぼした効果なのか俺の体には力が入らず、蔵馬にもたれかかったまま何一つ抵抗が出来なかった。
 体を動かしていたわけでもないのに息が上がっていて、それを落ち着けるために何度か深呼吸を繰り返す。
「覚えた? 一度で無理なら、これからもレクチャーしてあげますよ」
「ふざ、けるな」
 寒気を感じ下腹部を見ると、俺のイチモツはだらしなく外気に晒されていた。抜き取られていたベルトを掴み、それを仕舞う。何故か溜息をついた蔵馬から距離をとるように、ベッドの隅に座りなおす。ついた手に触れたティッシュボックスに苛立ち、気だるい腕を持ち上げて蔵馬に投げつけた。
「こんなこと。二度とさせるか」
「じゃあもう自分で出来ますね」
「自分ではやらん。こんなことしなくとも、お前が手合わせすればいいだけの話だろう?」
「え。貴方を抱いてもいいんですか?」
「バッ……。誰がそんなことを言った!」
「だって。……えっ? 飛影、もしかして。セックスしたことないんですか?」
「当たり前だろう」
 賊にいたとき、襲った屋敷の女を犯している奴らはいたが、俺は喘ぐ女を見ても何が楽しいのか分からなかった。それならば、切りつけた肉から染み出してくる血を眺めていた方が楽しい。
「そうか。君には氷女の血が流れているから。性的な快楽を求める本能は弱いのかもしれませんね。でも、今日貴方はそれを知った。気持ちよかったでしょう?」
 気持ちよかった。イエスかノーで答えなければならないのなら、前者だろう。排泄してしまったことは恥ではあるが、その行為自体は不快ではなかった。誰にも見つからず一人でするというのなら、何度不本意に排泄しても構わないだろうとすら思えた。
「ああ。恥ずかしがっていたようだから言っておきますけど、貴方がさっきオレの手の中に出したのは精液で、性処理をするっていうことはまぁ簡単に言えばアレを出すことなんですよ。目的が目的なんだから、アレを出したことを恥じることはないし、我慢していると逆に欲求不満になっちゃいますから」
 顔は見られていなかったはずなのに感情の動きが読まれていたことに、俺は一度だけ蔵馬を睨みつけると目をそらした。遅れて蔵馬がクスリと笑い、今の俺の行動に伴う心理も読まれたことを知った。
 苛立つが、それが持続しない。溜まっていた何かが、その精液と共に流れ出たからだろうか。
「でも、セックスの快楽を知らないのは勿体無いな。今度はその楽しみを教えて上げますよ。血肉を見るよりもきっとクセになりますよ。もっとも、オレや幽助たちが知っているものとは、少し違う快楽にはなりますが」
 俯いた俺の顎に手を添え、顔を上げさせる。目を合わせた俺に蔵馬は微笑むと、唇を合わせてきた。僅かににおう苦味に顔をしかめる。
「お前の息はくさいんだな」
「さっき少し、貴方のを味見させてもらったんですよ。それがまだ残ってたんでしょう」
 蔵馬の視線が俺の股間に向けられ、味見、の意味を遅れて理解する。
「バカかお前は。それとも変態か?」
「貴方もそのうち欲しくなりますよ。オレのを、ね」
 意味深な言い方で微笑む。有り得ん、と溜息を吐いてはみたものの、蔵馬の言葉が胸の奥に引っ掛かっていることに、はっきりと気づいていた。



氷女って処女ばっかりなんだろうかとか。
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