ice cold sky


「……寒いっスね」
「そうだね」
 足音だけの静寂の中、時折繰り返される会話。振り返るとそこには、二人の軌跡が白く残っている。
 両手に息を吹きかける。なかなか温まらないリョーマの指先は、赤い。
「雪、暫く残りそうっスね」
 両手を何度もこすり合わせながら、言う。不二は、そうだね、と呟くと、リョーマの左手をとった。温めるように強く握る。
「……不二先輩?」
「片手しか温められないけど」
 見上げるリョーマに微笑いかけると、繋いだ手をコートのポケットに押し込んだ。その中で、ほどけないよう指を絡める。
「…うん」
 何に、というわけでなく頷くと、リョーマは不二の腕にもたれかかった。頬を寄せる。
「……花火。」
 空を見上げ、ポツリと漏らす。リョーマはワケが解からず、不二を見上げた。
「星が」
 リョーマを見たあとで、視線を宙へと移動させる。そこには、冬の澄んだ空気に輝く無数の星。
「冬に、花火なんてしたこと無いから解からないけど。多分、あんな感じなんじゃないかな、って」
 視線をリョーマへと移すと、不二は微笑った。その笑顔に、リョーマは少しだけ頬を赤く染め、
「うん」
 俯いて、頷く。不二はクスリと笑みを零すと、コートの中の手を強く握り締めた。
「……寒いっスね」
「そうだね」
 また、静寂が戻った。雪を踏みしめる音だけが、聴こえる。





♪星空ぁ〜真冬の花火が 咲いたぁ〜スクリーンみたいでぇ♪
記念すべき不二リョ30話目がこんなに短いなんて…。
GARNET CROWの『Crire girl & Crire boy 〜ice cold sky〜』をBGMに。
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