やきもち。


「どけよ、カルピン。そこは俺の特等席なんだから」
「いいじゃない、今日くらい。君はいつもここに座ってるんだから」
 カルピンを足蹴にしようとした俺に、先輩は優しく返した。
「今日くらいって…だって、先輩。こいつ、先輩が俺ん家来たときは、いつもここに座ってるじゃなっスか」
 ここ、と言って俺が指差したのは、先輩の膝。椅子に座ってても、胡座をかいてても、とにかく、二人きりの時は、いつも俺は先輩の膝に座っている。そこはオレの特等席な筈、なのに…。
「いいから、どけよっ!」
 止める先輩を余所に、俺はカルピンをどかすと、その膝の上に座った。しょうがないな、と先輩は溜息を吐くと、優しく俺を包んだ。
「我侭なんだから、越前くんは」
 俺の耳もとで先輩がクスクスと微笑う。
「…先輩が悪いんスよ。俺を甘やかすから」
 言うと、俺は先輩に頬擦りした。猫みたいだね、と言うと、先輩は俺の唇を舐めた。
「…先輩の方が、猫っぽいと思うんスけどね」
「そう?…ああ。そう言われた事もあったかもしれないな」
 でも一番猫っぽいのは英二だけどね、と言って先輩は微笑った。そうっスね、と俺も微笑った。
「……ねぇ、先輩。」
「何だい?」
「今日、俺ん家、誰も居ないんすよ。だから…」
 言って、俺は先輩に口付けた。自分からやった行為だけど、少し照れる。俺は唇を離すと、先輩から目を逸らした。
「あはははは。可愛いな、越前くんは」
 耳にかかる先輩の吐息に、ゾクリとする。先輩は俺の反応を愉しむかのように、一度だけ、耳に息を吹きかけた。
「くすぐったいっスよ」
 言いながら身をよじる俺に、逃げちゃ駄目だよ、と囁くと、俺を包む腕に少しだけ力を込めた。そのまま、耳朶に舌を這わせる。
「……っん。」
 自分のものとは思えない、甘い吐息が漏れる。幾度となく先輩と躰を重ねても、声を出すことだけはいつまでも上手くならない。自分の口から漏れる声に、何故かいつも恥ずかしくなってしまう。
「可愛いよ。だから、恥ずかしがっちゃ、駄目。」
 まるで呪縛のような先輩の言葉に、俺は少しだけ声を荒げた。耳から項へと動く先輩の舌の動きに気を取られて解からなかったけど、いつの間にか、俺のシャツのボタンは外されていた。
 先輩の手が、俺の体の線をなぞるようにして上がってくる。少しで胸の突起に触れるか触れないかで、突然、先輩の手が止まった。
「…不二、せんぱい?」
 快楽から急に放り出され、俺は戸惑い気味に先輩を見た。目が合うと、先輩は微笑った。
「この体制だと、越前くんの顔、よく見えないんだよね」
「……え?」
 言うと同時に、俺は前に押し倒され、仰向けにされた……ようだった。先輩に口付けをされるまで、俺は何が起こったのか、さっぱり解からなかった。
「……ぁん………ふぁっ」
 長い口付けのあと、先輩は俺にわざと糸が見えるようにして唇を離した。俺が照れて顔を背けると、クスクスと微笑い声を上げ、首筋に舌を這わせた。快楽に身を任せようと思ったとき、視界に、白っぽいものが映った。
「あ。」
 思わず、間の抜けた声が出る。
「どうしたの?」
 俺の様子に気付き、躰を起こした先輩は、俺の視線の方を見た。
「………あ。」
 同じように、先輩の口からも間の抜けた声が漏れる。
「カルピン……」
 俺が名前を口にすると、カルピンはニャーと鳴き、俺に頬擦りをしてきた。相手は動物とはいえ、ずっと見られてたということに、多少なりと、恥じらいを感じる。
「……家、誰も居ないんじゃなかったっけ?」
「忘れて…ました」
 それどころじゃ無くなった雰囲気に、それどころな体制のまま、俺と先輩は顔を合わせて笑った。





ちょっと、エロいっすね。うふふふふ。
ウチの不二は、色っぽい攻めを目指してますので(笑)
猫って、可愛いっすよね。
カルピンはリョーマと同じくらい、不二が好きなのです。

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