縁側


 重い。と思って、眼を醒ましたら。僕の胸の上で眠っていたはずのカルピンが、隣で丸くなっていた。その姿は、些か不満そうに見える。
 ん?じゃあ、何で僕は今、重みを感じてるんだ?
 体を起こそうとしたけど、上手く動かないから。僕は手を伸ばすと、自分の体に乗っているものに触れた。感触で、それが何であるか分かったけど。僕は何とか頭を上げると、一応、目でも確認した。
 僕の体にピッタリと重なって、鼓動を聴くように胸に耳を当てている彼は、どうやらぐっすりと眠っているようだった。
「ご主人様に追い出されたってわけ、か。ほら、おいで」
 右手で彼の髪を撫でながら、左手でやや背を向けるようにして丸くなっているカルを呼ぶ。けど、彼にどんな風に追い出されたのか、カルは顔を上げて僕を不満げに見つめるだけで、近寄ってくる気配はなかった。
「大丈夫だよ。リョーマなら、ぐっすり寝てるから。ほら、腕枕」
 腕を伸ばし、カルに微笑いかける。暫く様子を窺うように僕をじっと見つめると、安心だと思ったのか、カルはのそのそと僕に近寄ってきた。二の腕に顎を乗せて、気持ちよさそうに目を細める。その顔に僕も目を細めると、カルの体を撫でようと腕を折った。けど。
「駄目」
 カルに触れる前に、僕の手は彼に捉まえられてしまった。指を絡めるようにして、陽によって温められた床に押し付ける。
「リョーマ、起きたの?」
 また頭を上げて、彼の顔を確認する。でも、彼は相変わらず僕の鼓動を聴くようにして眠っていた。狸寝入りなのかもしれないと思ったけど、カルが安心して眠っている所を見ると、どうやら本当に寝ているようだ。
 全く。夢の中でも、カルピンと2人で僕を取り合ってでもいるのだろうか?
「大丈夫だよ。心配しなくても、リョーマが一番だから」
 手を握り返し、いつの間にか動きを止めていた右手を動かし始める。
「ん」
 僕の言葉にか、握り返した手にか、頭を撫でたことにか。彼は小さく声を漏らすと、その後で僕の名前を唇でなぞった。





365題『ビート』のコメントから。縁側でお昼寝。
短くてごめんなさい。でも、甘いから許して(笑)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送