One day


「ターカさんっ」
「うわっ!?」
 突然、声と共に重いモノが背中に圧し掛かり、オレはよろけた。
「……不二ぃ。頼むから声をかけてからにしてくれよ」
「あはははは。ごめんごめん」
 背中に圧し掛かっている、というよりも、オレに抱きついているモノ――不二は足を宙に浮かせたままで笑った。ことの重大さを解かってない。
「もしオレがこけてたら、不二が怪我するかもしれないんだよ?」
「……ごめん」
 少し怒ったようなオレの声に気付いたのか、不二は弱々しく呟くと、そのまま黙ってしまった。やれやれ。オレは溜息を吐くと、明るい声に戻して言った。
「まあ、次から気をつけてくれれば言いから。な。」
「うん。」
 頷くと、不二はその腕に少しだけ力をこめた。身長差がある所為で、不二の足はずっと宙に浮いたままだ。
「……タカさんてさ、力持ちだよね」
 宙に浮いた足をぷらぷらと遊ばせながら、楽しそうに不二は笑った。
「それだけが取り柄だからね」
 少し、ずり落ちてきた不二の両手を掴む。
「それだけじゃないよ。タカさんは」
 クスクスと笑い声を上げると、オレの耳元で囁く。
「すごく、優しい」
 その言葉に、オレは思わず顔が赤くなった。他のヒトに言われても何とも無いのに、不二に言われた時だけ、何故かいつもこうなってしまう。不二の言葉には不思議な力があるんじゃないかって、時々思う。
「タカさん、温かい」
 言いながら頬擦りをしてくる。
「お、おい。不二っ」
「何?」
「こんなところ、誰かに見られたら…」
「こんなところって?大丈夫だよ」
 楽しそうに笑う。そんな笑顔見せられたら…。駄目だ、とオレは溜息を吐いた。それにしても。
「オレたちの関係、不二のファンの女の子たちが知ったら、ビックリするだろうな」
「ん?なんで?」
 オレの呟きに不二はわざとらしくとぼける。
「だからさぁ」
「僕は何を言われても平気だよ。それに…」
 言いかけると、不二はオレから手を離し、今度は腕を組んできた。
「部活のみんなは、もう知ってるよ」
「………へ?」
 その言葉に驚いて、オレは辺りを見回した。もう、テニスコートまで来ていた事に気付く。
「今日もあっついねー。お二人さんっ!」
 英二からの野次に、オレはまた、顔を赤くした。横目で不二を見ると、さも当たり前だというような顔をしている。その時、ピンと来た、嫌な予感…。
「……不二」
「ん?」
 オレの顔は、依然として前に固定されたまま。
「もしかして、広めたの、不二?」
 横目で見た不二は、オレに悪戯っぽく微笑って見せた。
「………。」
 呆気に取られているオレを見て、もう一度微笑うと、そのまま背伸びをしてオレの頬に唇を押し当てた。

 顔を真っ赤にしたまま硬直してしまったオレとそんなことをさせた不二、そしてそれをはやし立てた英二たちに、手塚からの怒声が飛んだのは言うまでも無かった。





不二タカにも、タカ不二にも見えそうで怖いのですが。一応、不二タカです。
不二タカは唯一(?)不二が陰を落とさないカップリングなので、好きでスね。
好きなんだけど…書けないんだよね(笑)
タカさんは基本的にボケてます。天然です。気は優しくて力持ちという金太郎のようなヒトです。
どっちかっていうと、タカさんよりも、不二のほうがラブラブです。
っちゅうか、甘いよ。甘いって。

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