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「どうしたんだい、不二」
「どうしたって言われても」
 無邪気な顔で見上げる彼に、僕は少々困惑した。
「本当に、僕が上に乗るの?」
「なに今更躊躇ってるんだよ。不二だって、了解してくれたじゃないか」
「そうなんだけど、さ。いざとなると何か、ちょっと、心配でね」
 まだ何もしていないのに、少し湿っている彼の筋肉質な肌を、撫でる。
「っ不二」
 すると、彼は少し体を震わせて見せた。
「ゴメン。つい、癖でさ」
「クセって、あのなぁ」
「だってしょうがないじゃない。タカさんの裸見たら、誰だってそういう気持ちになるよ」
 クスクスと微笑いながら。もう一度、その肌を撫でる。彼がまた、小さく身じろぐ。
 それが面白くて、また、撫でる。
「もうっ、不二、止めてくれよ。そういうことする為に読んだわけじゃないんだから」
「えーっ、しないの?」
「……せ、せめて今は我慢してくれよ」
「全く。しょうがないなぁ」
 渋々、と言った口調で動きを止める、彼を見る。
 僕を見つめるその顔は、しょうがないのはどっちだよ、と言いたげなそれだった。
「じゃあ、乗るけど。本当に大丈夫なの?」
「平気だって。何度も言っただろ?不二は心配性だなぁ」
 心配性だ、と言われても。
 ヒトの上にこうして跨って乗ることなんて、彼を襲う時以外には無いから。その時は支えてなんか貰わないわけだし。
 だから、やっぱり、何か。ねぇ。
「頼むよ。おれを助けると思ってさ」
「……辛かったらちゃんと言ってね?潰れる前に、僕、直ぐに降りるから」
「分かってるって」
「じゃあ、乗るよ」
「おうっ」
 威勢のいい声と共に、彼は真剣な顔つきになり、真正面を向いた。
 その体に力が入ったのを確認してから、両手をつき、跨る。まだ、体重全てを預けてはいない。
「いいよ、不二。そのままゆっくりと体重かけてくれ」
「うん」
 彼の反応を窺いながら、本当にゆっくり、体を沈める。
 そして。見事、僕の足が浮いてしまった。
「タカさん。凄い」
「だろ?ここから動くから。不二、落ちないようにちゃんと掴まってて」
「うん」
 言いながら彼が腕を曲げるから。僕は慌てて肩を掴み、バランスを取った。視界が沈んでは、浮き上がる。
「いーち…にっい…」
「さーん。よーん。ごー…」
 早くも切れはじめた声で彼が数えるから。僕もそれに合わせて数えはじめた。
 その意味が伝わったのだろう。10くらいまで数えた所で、彼の声が無くなった。
 それにしても。凄いな。
 視界の沈む数を声に出して数えながら、僕は感心していた。
 箱を乗せて腕立てをしてるんだけど、箱が落ちてきて困ってるんだ。だから、もしよかったら、不二がおれの背に乗ってくれないかい?
 なんて。初めは冗談だと思ってたんだけど。まさか本当に、僕を重しにして腕立てをするなんて、ね。
 でも、これだと、疲れちゃって。筋トレ終わった後のお楽しみなんか、きっと無理なんだろうなぁ。
 まぁでも、そのときは。僕が彼を乗せてあげればいいか。うん。



筋トレは常に上半身裸で(笑)
ええーっ、不二が上に乗るの?リバ?リバ?とかちょっと早とちりしていただけたのなら、願ったり敵ったりです(笑)。

つぅわけで、オマケ↓
「……不二」
「うん?」
「さっき、怖いこと考えてなかったかい?」
「ううん。何で?」
「………途中、すっごい、寒気がしたんだけど。本当に、考えてなかったかい?」
「うーん。怖いことは考えてないなぁ。気持ちいいことは色々考えてたけど」
「……………はぁ」
不二タカって、オマケ多くない?
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