男は静かにその扉を開けた。建物全体に機械音が反響する。 それから、どれくらいの時間が経っただろうか。男は涙を拭くと立ち上がった。その口元には、それまで泣いていたのが嘘のような、不気味な笑みが浮かべている。 「…うん。永かったよ。でも、今日でそれも終わる。今日が何の日か分かるかい?僕の誕生日だよ。君が冷凍睡眠についてから2年。僕は君より2つだけ歳をとった。そう。あの大和と同い年になったんだ。君の大好きな大和部長とね」 クスクスと微笑い声を上げると、箱のサイドに取り付けられた機械を操作し始めた。不気味な機械音が部屋を揺らす。 「君は憶えていないかもしれないけど、君は僕の告白を断る時にこう言ったんだ。『オレは年上のヤツが好きだ。例えば、大和部長のような』ってね。下手な振り言葉だって思ったよ。でも、それは違ったんだね。君はあの時、本当に大和と…。だから、僕は君より2つだけ歳をとる方法を考えた。そしてあの日、ようやくその計画を実行に移したんだ。ああ。そうだ。念の為に言っておくけど、君は死んだことになってるよ。当たり前だよね。2年も姿を現さなかったんだから。大丈夫。僕の家は広いんだ。君も知ってるだろ?僕が事業で成功したってこと。ちゃんと君の部屋は用意してあるよ。日当たりのいい部屋だ。外に出られないんだから、それくらいのことはしてあげないとね。そう、それとね。大和は僕が――」 男の言葉は機械音にかき消された。棺の扉が開く。 「さあ、手塚。あとはこれで君の心臓を解凍するだけだよ」 歪んだ笑みを浮かべる不二の眼から落ちた滴は、持っていたガスバーナーの炎に吸い込まれるようにして消えた。 |
都合上、タイトルは最後にさせて頂きました。 ……って。またかよ(泣) あーん。ごめんなさいっ! こんなもんばっかり書いてますが、不二塚大好きなんです。ホントです。信じてください!! 全ては黒夢の所為。黒夢の所為。。。 夜中にね、何を書こうかなーなんて考えながら黒夢のCDを聴いていたら、【解凍実験】が流れてきて。 「冷凍されたある人間の心臓を ガスバーナーで解凍せよ 直ちに解凍せよ」 なんて命令されたもんだから、つい。(←馬鹿) ちなみに、大和部長に深い意味はありません。寧ろあのキャラは好きです。殺してごめんネ。 |
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