Reason


 会いたい、と素直にいえたら楽になれるのだろうか。

「………。」
「どうしたの?こんな夜中に。」
「………。」
「…手塚?」
「……たい。」
「え?」
「会いたい」
「…会いたいって…今から?」
「……駄目、か?」
「ううん。駄目じゃない。嬉しいよ。君から誘ってくれること何て滅多にないからね」
「……そうか」
「じゃあ…どうしようか。何処に行けばいいかな?」
「お前の家…今日、誰かいるのか?」
「………居るといえば居るけど…。大丈夫だよ。じゃあ、家来る?」
「ああ。悪いな」
「いいって。」
「……じゃあ、1時間後に。」
「うん。待ってるね」

 思えば、初めての電話。不二が携帯を持ってることは知っていた。それに、番号も相当前に教えてもらった。だが、実際に電話をしたのは初めてだった。
 自信がなかったのかもしれない。自分から誘って、拒否されるのが怖かったのかも。

「あはははは。それって、手塚は僕を信用してないって事?」
 オレの膝に頭を乗せ、その手に口付けをしながら、不二は微笑った。
「…別に。笑うようなことでもないだろう?それに、オレはお前を信用してないなんてわけじゃない」
「でも…」
 言いかけて起き上がると、不二はオレの隣に座った。肩に手を回し、耳元で囁く。
「僕に断られるかもしれないって思ったんでしょ?」
 耳にかかる吐息に、少しだけ顔を赤らめながら、オレは頷いた。再び、不二が声を上げて笑い出す。
「それは君が僕を信用してないって証拠だよ」
「だから、なんでそうなるっ……」
 一瞬、何が起こったのかが解からなかった。が、口内に侵入してくる生温かいものによって、オレは今、不二に口付けをされていることに気付いた。唇を離すと、不二が悪戯っぽく微笑う。
「馬鹿だね、君も。僕が君の誘いを断るはずないのに」
 クスクスと微笑うと、そのままゆっくりとオレを押し倒した。オレはそのまま不二に身を任せる。
「温かい…」
 オレの背に手を回し、猫のように擦り寄ってくる不二に苦笑しながら、オレはその髪を優しく撫でた。
「ごめんね」
 オレの胸の上で、不二が小さく呟く。
「……何が、だ?」
「不安にさせちゃって、さ」
 顔を上げ、哀しそうに微笑うと、不二はオレに口付けた。その優しい仕草に、少しだけ、胸が痛む。不二はいつも、オレのことを想っていてくれる。なのに、オレは…。
「お詫びに、今日は君の我侭に付き合ってあげるよ」
 不二は、包むようにしてオレを抱きしめると、耳元で囁いた。
「…お前の所為じゃない。オレが勝手に不安がっただけだ。」
 不二の想いの強さを知れば知るほど、苦しくなる。それを紛らわすかのように、オレは不二の背に回した腕に力を込めた。
「手塚?」
 オレの異変に気付いたのか、更に優しい声で聞いてくる。それが辛くて。オレは、なんでもない、と首を横に振ると、顔を覗き込んでくる不二の唇に自分のそれを重ねた。
「いいんだよ、手塚。君が勝手に不安がったように、僕が勝手にお詫びをしたいって言ってるんだから」
 唇を離すと、不二が微笑った。……見抜かれていた。硬直するオレに、触れるだけのキスをすると、不二はまた微笑った。
「だから、ね?」
 僕に何をして欲しい?笑顔の向こうで、そう言われた気がして。オレはもう一度、強く不二を抱きしめた。耳元に、唇を寄せ…。
「……―――――。」





メチャメチャ多いね。電話が出てくる話。
MARBLE TONEの『Reason』が基ネタです。ってか、このバンドはクビになったのか?
これまたかなり昔に書いたモノです。年があける前かなぁ。
何でこんなに寝かせていたのか、アタシにも解かりませんι
どっちかっていうと手塚の方が欲情しやすいっていうのが好きかも(笑)

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