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「初めてだね。誕生日、一緒に過ごすの」
 オレの肩に寄り掛かると、不二は呟いた。繋いでいた手を一度解き、指を絡める。
「去年も一緒に祝っただろう?」
「でも、去年はバースデイ・イヴだったじゃない」
 オレを見上げ、クスリと微笑う。前に会ったときよりも短くなった髪を梳く。隠れていない左耳に光るのは、去年オレがプレゼントしたピアス。
「うちの高校、ピアスは校則で禁止されてるから、ずっと髪で隠してたんだけど。折角だしね。やっぱり見せないと、勿体無いよね」
 言うと、不二はピアスに触れていたオレの手をとり、自分の肩へと廻した。隙間もないほどに、寄り添ってくる。
「そんな理由で、髪を切ったのか?」
「それに、そろそろ春だし。もう寒くないかなって」
 また、オレの肩に頬を寄せる。短くなったといっても、元が長かったから、耳が少し見える程度だ。
「しかし、それでは明日から先生に何か言われるんじゃないのか?」
 切ってしまった髪は、1日2日で伸びるものではない。それとも、学校へ行く時はピアスを外すのだろうか?
「ん。大丈夫。気にしないから」
 微笑いながら言う不二に、オレは大きな溜息を吐いた。気にしないと言うだけで、済む問題ではない。とはいえ、オレがここで何を言っても、こいつは聞かないだろう。それに、不二が大丈夫だといえば、本当に大丈夫な状態になってしまうのだから。
「さっき、初めてって言ったけどさ」
 絡めた指を弄びながら、呟くように不二が言った。
「考えてみたら、そもそも、今日が君と出会ってから初めての僕の誕生日なんだよね。一緒にいるのが初めてなのも当たり前だ」
 半分は自分に言い聞かせるように言う。そして、なんか不憫だね、と少し落ち込んだ声で呟いた。
「自分で言うな。それに、誕生日が来なくても去年はちゃんと祝ってやっただろう?」
「うん…」
 頷きながらも、オレに見を寄せている不二はどこか寂しそうで。オレは小さく溜息を吐くと、指を解いた。不二を肩から引き離し、立ち上がる。
「手塚?」
「そろそろ、出掛けるぞ」
「え?」
「4年に1度しか来ないなら、4年分の内容を今日1日に詰め込めばいいだろう?」
 言いながら、不二に手を差し伸べる。不二は暫く黙ってオレを見つめていたが、オレの手をとると、ありがと、と微笑った。





短い。
誕生日プレゼントは手塚と過ごす1日。
だってほら、高1だから、部活がさ。手塚はズル休みいたしました。
二人は多分、別の高校に行くと思うなぁ。えー。やだぁ。。。

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