シーツ
 その肩をシーツに押し付ける。唇を離すと、彼の眼はこれから起こる事の不安と期待に揺れていた。その眼を見つめたまま、口元だけを歪めて微笑う。
 もう一度キスをし、彼の服を剥がす。現れる、白い肌。指先でなぞると、彼は小さく声を上げた。僕を見つめるその眼にはもう不安は無く。その代わり、普段は秘められている、妖しい色を見せていた。
 僕だけが知っている手塚。僕だけの、君。
「不二っ…」
 撫でるだけの感覚に焦れた彼が、吐息混じりに僕を呼ぶ。
「何?手塚」
 僕は生まれつき意地が悪いから。彼が困ると知っていて、その真意を問う。彼の肌を指先でなぞりながら。
「…かってる、くせに」
 頬を朱に染めて呟く。その表情は、何よりも甘く。僕を誘う。心の奥深い所から湧き上がって来る感情。それを無理矢理に押し込める。
「ちゃんと言ってくれなきゃ、理解らないよ」
 クスクスと微笑いながら、また、彼の体をなぞる。彼は更に顔を朱くすると、僕の手を取り、自分の敏感な所に触れさせた。そのことに、彼が小さな喘ぎを上げる。
「いい加減、理解るだろう?」
「……しょうがないな」
 呟いて最低な笑みを浮かべると、彼が望むものを与えるべくその白い肌に触れた。僕から離れた手が、刺激に反応するようにシーツを掴む。僕が彼に触れているのに、彼が僕に触れていないという事実が嫌で。
「手塚」
 僕は彼を誘うようにしてその名を呼んだ。何かに導かれるように、シーツを掴んでいた彼の手が、僕の背に回る。爪を立てたのを感じると、僕は強めの刺激を彼に与え始める。
「……っじ」
 僕の名前を熱い吐息と一緒に吐き出す。紅潮した顔は苦痛を与えられた時のような表情を浮かべているのに、その口元だけは微笑っていて。僕も、口元だけを歪めて微笑った。




365題。『75.シーツ』のコメントより。
一応これでも艶かしくしたつもりなんですけど。
……自分、何か意味を履き違えてる気がするワι


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