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「ゲームセット。ウォンバイ青学、乾。7−6」
 割れるような歓声の中、あの日の決着をつけられた充実感とそれに勝る不安を抱きながら、俺は試合結果を聞いていた。

「……赤也の気持ちを汲んで、殴らないでおいてやるが。とんでもないことをしてくれたな」
「……申し訳ない」
 厳しい弦一郎の言葉に顔を上げられずに、俺は俯いた。後ろでは、案の定、赤也が不二を挑発していた。
「幸村のこともそうだが、お前はそれ以上にここで勝たなくてはならなかった。違うか?」
「申し訳ない」
 同じ言葉しか出て来ない。呆れたように弦一郎が溜息を吐く。
「もういい。さっさとコートから出ろ」
「申し訳ない」
 三度同じ言葉を言うと、俺はコートから出た。弦一郎の後ろに立ち、何気無しに青学のコートに目をやる。
「……貞治」
 風が吹くだけでも倒れてしまいそうなくらいボロボロになった貞治は、それでも出来る限りの優しい顔で青学の二年、海堂薫と話をしていた。
「お前はもう、次を見つけたのだな」
 仕方がない。貞治は近くにいる者に惹かれ易い。俺たちが試合をするまでには、貞治には次が出来ている。これは予測していたことだ。無論、覚悟だってしていた。
 それに、俺とて例外ではない。俺にだって、次くらい…。
「蓮二」
 不意に弦一郎に呼ばれ、俺は視線を戻した。振り返らずに言う弦一郎の向こうでは、既に赤也と不二の試合が始まっていた。
「この試合で、もし不二に何かあったら…」
「分かっている。そのときは、俺を殴ってくれ。相手を狙った攻撃。赤也のもともとのスタイルだ。赤也には責任はない。責任は、赤也をシングルス2にし、その上戦わせてしまった俺にある」
 不二がシングルス2に来ることも予想されたが、俺の計算ではその確率は非常に低かった。2年の桃城が補欠になったことからも、ダブルス2で不二が河村と組む可能性の方が圧倒的に高かった。だから俺は赤也をダブルス2にした。だがその予想は外れ、結果はこの様だ。
「だが、赤也は何も知らない。俺たちに今出来るのは、赤也の目が充血する前に試合が決まることだ」
「それは無理だな。もう既に、赤也の目は充血している。……お前の口調を真似るなら、不二が怪我をする確立、98パーセントとでも言ったところか」
「……申し訳ない」
 もう何度、この言葉を繰り返しただろうか。それ以外には何も言えない自分と、だからと言って弦一郎に謝ってもどうにもならないこの現状に腹が立ち、俺は拳を強く握り締めた。
「幸村への言い訳も、考えておくんだな」
「……あ、ああ」
 握り締めた拳が揺るむ。この失態を精市に報告したらどうなるかは、容易に予想がつく。
「赤也…勝ってくれ」
 精市の手術が成功した後に待っている惨事に、俺は無駄なことだと思いながら、せめて最悪の事態を免れる為に速やかなる赤也の勝利を祈るしかなかった。





見えないけど、不二←柳がメインな話。
真田も不二が好き。幸村も不二が好き。そして幸村が最強。
なので、不二を傷つけた上に試合にも負けたとなったらこら大変。
ちなみに。昔、柳乾だったらしい。この話の前提では。
今は、乾海で不二←柳。既に二人とも次を見つけております。(だからnext。何てテキトーなタイトルだ)。
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