Sweet


「今日、爺やに言われちゃった」
 ソファに座るや否や、膝に頭を乗せるようにして寝転がった彼の髪を梳きながら、僕は思い出したように言った。
 突然の発言に上手く理解がついて来ないのか、彼がきょととした顔で僕を見上げた。その姿が余りにも可愛かったから。僕は少しだけ膝を高くすると、身を屈めて彼の広い額に唇を落とした。
「今日ね、君の部屋に来る時に、言われたんだよ。景吾ぼっちゃんをあんな風にした責任は、ちゃんととって貰います、って」
「……何だよ、その、あんな風、ってのは」
 額にでは物足りなかったのか、彼は少しだけ眠そうな声で言うと、体を起こした。ボクの膝に向かい合うようにして座り直し、唇を重ねてくる。
「こんな風だよ。甘えたさん」
 こつと額を合わせ、微笑う。その僕の言葉にか笑顔にかは分からないけど、兎に角何かが癇に障ったらしく、彼は凄むように睨みつけてきた。けれど、そんなの僕には効かないから。笑顔でそれを交わすと、今度は僕から唇を重ねた。彼がしてきたものよりも、もっと濃密な口づけ。
「…………」
「機嫌、直った?」
 唇を離し、黙ったままの彼の顔を覗き込むようにして見つめる。すると、彼は赤い顔で、責任、と呟いた。何、と訊き返す僕に、彼は顔を上げると、潤んだ眼で僕を見つめてきた。
「責任、取ってくれんだろうな」
「勿論だよ。君の爺やにも、そう答えたしね」
 優しく微笑って、触れるだけのキスをする。これで、彼もやっと微笑ってくれると思ったけど。彼は僕を少しだけ押しやると、耳まで真っ赤にして俯いた。
「……そうじゃ、ねぇよ」
 僕の肩に額を乗せ、腕をぎゅっと掴む。
「跡部?」
「それも、そうだけど。俺が今言ってるのは、今の、責任を取れってことだよ」
「今の?……えっと、跡部、それって」
「全部、言わせんじゃねぇよ」
 耳元で、熱い吐息混じりに囁く彼に、分かったよ、と苦笑しながら答えると、僕はその甘えたな体をぎゅっと抱きしめた。





365題『責任』から。
跡部を甘えたさんにしたのは不二ですってことで。
短くてごめんなさーい。
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