戯れ


「……つまんないなぁ」
 溜息混じりに呟くと、僕は手に持っていたモノを、ぐ、と押し込んだ。それに合わせて声が上がり、ベッドが軋む。
「っなら、これ抜けや」
「駄目。これはこれでそれなりに楽しいし」
 潤んだ目で訴える彼に、僕は意地の悪い笑みを浮かべた。更に激しくソレを動かす。
「あっ、ぁ」
 いつもとは違う高い声。それにもいい加減聞き飽きたから。僕はスイッチを入れると、ソレから手を離した。ベッドから降り、椅子に座る。
「ちょっ、これ…」
「ん。暫くそのまま悶えててよ」
「ぁ、くま」
「まぁね」
 とは言うものの。流石に少し可哀相かなとも思ったので、中心の戒めだけ解いてやる。途端、彼は笑ってしまうほど情けない声を上げると、白濁液を吐き出した。詰まらないので、スイッチを切り、玩具を抜き取る。
「もうちょっと粘ってよ」
「っさい。何分ほっといたと思って…」
「だから解いてあげたでしょう。全く」
「それはこっちの台詞や。自分で解いといて、出したら怒るん可笑しいで」
「あ。そうか。じゃあいいや。全部ほどいてあげるから。好きなだけイッてれば?」
 不気味に光る玩具を彼の隣に置くと、手足を縛ってたロープを解いてやった。彼は暫く赤く痕のついた手首を眺めていたけど。ニィ、と微笑うと、僕に手を伸ばしてきた。
「イクときはお前も一緒や」
 唇を重ねられる。けど、彼の舌が入ってくる前に、僕はその腕から抜け出した。口元を拭い、再び椅子に座る。
「酷い奴やな。何もそない嫌がらんでも。セフレなんやから、ヤらな意味ないやろ?」
「確かに。それもそうだね。でも、今日は僕、そんな気分じゃないんだ。だから君だけ善くなってよ」
「なら、何で誘ったん?」
「ちょっと、手に入れたからさ。使ってみたくなってね」
 不機嫌そうな彼に、僕はクスリと微笑うと、その隣に置いた玩具を指差した。彼がソレを見て、ああ、と溜息を吐く。
「本当はさ、手塚に使いたかったんだけど。イメージ的に、合わないなって」
「何や、それ」
「ほら、手塚って何処までも綺麗で真っ直ぐでしょう。そんなヒトに、こんな機械挿れるのもちょっと躊躇われてさ」
「手塚は駄目で、俺ならええって?」
「だって君、穢れてるじゃない」
 クスクスと微笑いながら、その汚れた下腹部を指差して言った。怒るかと思ったけど、彼は僕の予想に反して、溜息を吐いた。
「確かに俺は穢れとるけど。それは手塚やって同じや。俺の勘やけど。アイツ、絶対エロいで」
「それは僕が良く知ってるよ。でも、僕の中では手塚は何処までも綺麗なの。あ。でも、綺麗なの穢すのも、案外好きなんだよねぇ」
「……だったら手塚に使こたらええやん」
「無理無理。例えこんな玩具使った所で、手塚は穢せないよ。僕なんかじゃ、彼に何の影響を与えることも出来ない」
「神聖化、し過ぎてへんか?まるで跡部みたいやな」
「………跡部?何で、跡部が出てくるの?まさか、君を神聖化してるとか?」
「ちゃうわ、阿呆。跡部が神聖化しとるんは、お前や」
「……………僕?」
「そう。きっと跡部が知ったら腰抜かすで。俺とお前がこんな関係なん」
 うつ伏せになり、狙いを定めるような格好で僕を指差すと、彼は気持ちの悪い笑顔を見せた。今度は僕が、溜息を吐く。
「冗談。跡部は僕のことそんな風に思ってるワケないよ。それ以上、そんな冗談言うなら、もっと非道いことするよ?」
「別に、不二が挿れるんやったら、幾らでも非道いことしてもええけど。でも、俺がさっき言ったんは嘘やないで」
 軽い口調で言った前半とは違って、嘘ではないと言った口調は真面目なものだった。から、きっと、本当なんだろう。
 ああ、だったら。
「跡部を穢してみようかな。彼も結構、綺麗な方だと思うし」
「……おまっ。俺だけでは飽きたらんのか」
「君は元々穢れてるからね。飽きるも何も、最初から興味ないよ」
「あ。さいですか。……ああ、でもひとつ言っとくけど」
「うん?」
「跡部も、エロいで」
「………だろうね」
 また指差して言う彼に、僕は溜息混じりに頷いた。そもそも、彼の恋人だという時点で、そういう感じはする。けど、彼は僕の頷きが意外だったらしく、詰まらないとでも言うように溜息を吐くと、仰向けになった。僕を手招く。
「何?」
「俺がその気にさせたるから。続き、せぇへんか?一緒に楽しもうや」
「何、その態度の変わりよう」
「………飽きれとるんなら、上、乗るなや」
 また気味の悪い笑みを浮かべる彼に、僕も彼を真似た笑みを見せると、どうでもいいか、と呟いて唇を重ねた。





不二塚、忍跡前提の、不二忍セフレで、不二←跡。
……どんだけややこしいねんって話。
忍足の〜関西弁が〜わからねぇ〜。
とりあえず、暇つぶしに忍足に非道いことをする不二を書いてみたかったという話。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送