朝の出来事。


「おい、不二」
「うるせぇ。寝かせとけ」
「お前、学ランの下に何も着てなくね?もしかして、朝練ジャージで来た所為でシャツもってくんの忘れた?」
「……うるせぇな。いいだろ、どーだって」
「せめて体育着を着るとか、部活のシャツを着るとかすれば?微妙だぜ?」
「んなことしたら、後が怖ぇだろーが」
「――は?」

 体が、だるい。眠い。それも何もかも、兄貴の所為だ。
 幾ら、朝練が早く終わったからって…。

 朝練も終わり、部室に二人きりになった途端、兄貴はオレを壁に押し付けると荒々しいキスをしてきやがった。
「ヤメロって。あにっ…」
 やっとのことで唇が離れる。二人を繋ぐ糸に少し頬を赤らめながらも、オレはなんとか抵抗した。
「うるさいよ」
 すると今度は胸座を掴また。兄貴は見た目からは想像もつかねぇが、オレ以上に力がある。気づいたときにはもう遅く。オレは冷たい床に倒されていた。オレの背に、兄貴が跨る。
「だからっ、誰か来たら――」
「誰も来ないよ。来たとしても、入れない。内鍵は閉めてあるし、部長が持っているはずの鍵も、職員室に置いてあるはずの鍵も、ここにある」
 いつの間に?
 体を捩って見上げるオレに、兄貴は楽しそうに微笑うと、二つの鍵をチャラと鳴らして見せた。それをオレの目の前に投げ捨てる。
「今日は朝練、早く終わったし」
 言いながら、兄貴はオレの首らへんに手を伸ばすと、シャツを思い切り左右に引っ張った。着替え途中でボタンを一つ二つしかかけていなかったから、それらは簡単に千切れ、オレはあっという間にシャツを脱がされちまった。
 抵抗しようと手を動かすも、それも簡単に兄貴に捕らえられ、あろうことかオレのシャツで一纏めにしやがった。
「家だと抵抗しないのに、学校だと嫌がるよね、裕太って」
「あっ…たり前だろ」
 耳元で、甘い声で囁かれ、思わず体が揺れる。それに気づいたのか、兄貴はクスリと微笑った。もう一度、後ろ手で縛っているシャツが解けないか確認し、オレを仰向けにさせる。コンクリートの床に手が変な風に当たり、軋んだ。そのことに兄貴は気づいているはずなのに、気づかないフリでオレの上に跨った。また、骨が軋む。
「っにき。腕、痛い」
「そう」
「退けよ」
「退いたら、抵抗しない?」
「………」
「じゃあ、駄目」
「くそっ」
 遠慮なしに肌に触れてきやがるから。オレはせめてもの抵抗にと、足をバタバタと動かした。だがそれは、オレの腹の上に乗っている兄貴には通じず。
「そんな風に暴れてたらさ、腕、痛むでしょう」
 兄貴の言う通り、オレの抵抗はただ、腕をさらに痛めつけただけだった。抵抗を止め、チ、と舌打ちをするオレに、兄貴が微笑う。
「拘束されてるんだしさ。今日はもう諦めなよ。体もそう言ってるみたいだし」
「っ」
 兄貴の指がオレのそこに触れ、声が漏れる。そのことに兄貴はまた微笑うと、背を丸め、オレにキスをしてきた。オレも、思わず舌を絡めてそれに応えちまう。
「ふふ。その気になってくれたみたいだね」
「兄貴がそうなるようにさせたんだろっ」
 もはや、兄貴に開発された体は、抵抗する気を無くしていた。それよりも早く、兄貴が欲しいと…。
「抵抗、しねぇから。これ、外せよ」
「……折角だから、このままでいいよ。痛くないように、裕太が上になれば良いからさ」
「なっ……ぁ」

 と、まぁ、そんな感じで。朝っぱらからオレは兄貴に善いように扱われた。兄貴のせいだけにするのも悪いような気もするが、結局は兄貴が全ての主導権を握ってたわけだから、やっぱり兄貴が悪い。
 シャツは、その時にボタンが取れ、しかもオレの手を縛ってた所為で皺くちゃ。それだけじゃなく、自分は部活でまたタオルを使うからと、オレのシャツで後始末をしやがった。
 着れるわけねぇだろ。そんなもん。焼却炉に即行で捨てたってんだよ。
 替わりに体育着を着てようと思ったんだが、それは兄貴に止められた。止められたってのとはまた違うか。昼もやるから着ててもいいけど、また捨てるはめになるよ。なんて笑顔でさらりといいやがった。断ったら家に帰ってナニをされるか分かったもんじゃねぇから行くしかねぇけど…。
「………」
「不二?どうした?」
「なっ、んでもねぇよ……。オレは寝る。センセ来たら起こせ」
 やべぇ。思い出してたら、なんか…。
「………あーあ。オレって、バカだよなぁ」
 何気に、昼休み、愉しみにしてんだからよ。





タイトル、いい加減です。ゴメンナサイ。 えーっと、365題『制服』のコメントでね。「なんで裸に学ランなんだよ裕太…」というのがありまして。それを読んだ時、アタシは思わず笑ってしまったわけで。いつか理由をつけてみたいな、と。それで書いたのがこれなわけでございます。
確かめていないのですが、裕太はちろっとだけ青学テニス部に入ってたんですよね?ってか、入ってたことにしておいてください(笑)
きっとね、裕太がルドルフに行ったのは、学校でやるのが嫌だったからなんだよ。だからといって、断れないし(笑)。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送