ROMANCE
 額を重ね見つめ合い、そしてキスをする。それだけをずっと繰り返していた。時折唇から漏れる音に照れ笑いを浮かべながら。
「早いね」
 不図、見つめるオレから視線をずらすと、不二は呟いた。その視線を追うと、二つの針が重なろうとしている所だった。
「君を連れて来てから、もう二時間も経つみたい」
「そうだな」
 不二がいつまでも時計ばかりを見ているから。オレはその頬に触れると、深く口付けた。不二を抱き締め、身体を後ろに倒す。そのとき、目の端でちょうど針が重なったのが見えた。それに気付いた不二が、微笑う。
「誕生日、おめでとう。手塚」
 今年も、イチバンに伝えられたね。クスクスと微笑いながら、そろいのパジャマのボタンを外す。オレはそれに反応を返さず、されるがままになっていた。
 眼を瞑ると、不二の音が聴こえてくる。
 ずっと傍に居て欲しいというオレの無理な願いを、去年の今日から不二は叶えてくれている。
 今日だって、どうやったかは知らないが、オレが不二の家についたときには他に誰も居なくなっていた。去年は不二の家の者が居たから余り羽目を外せなかったことを憶えていたらしい。
「………?」
 不意に、不二の手が、止まった。不思議に思い目を開けると、優しい眼で不二が見つめていた。
「どうした?」
「何か、凄いことだなって思ってさ」
 伸ばしたオレの手を取り自分の頬に触れさせると、不二はそのまま額を重ねた。眼は、まだ見つめ合ったままで。
「誰よりも先に、君におめでとうを伝えることが出来たってこと。それって、手塚の一年が僕で始まったってことでしょ。何か、それって凄い」
 大発見とでも言うように、不二は微笑った。その笑顔に、軽い溜息をつく。
「手塚?」
「オレは、お前の方が凄いと思うぞ」
 もう片方の手も不二の頬に触れさせると、その顔を引き寄せた。触れるだけのキスをする。
「そんな風に考えることの出来る不二の方が。凄いと思う」
 言って微笑うと、不二は少しだけ顔を曇らせた。
「何かそれ、バカにしてない?」
「バカになどしていない。寧ろ、見習いたいくらいだ」
 微笑いながら言うオレに、不二は、そう、と呟くと、改めてといった風に微笑った。
 オレの手に重ねていた手を離し、それを肌へと滑らせる。オレの胸をひと撫ですると、その後を辿るように不二の舌が這った。ゆっくりと舐め回した後で、顔を上げる。
「そうだ。今年のプレゼント。何が欲しい?」
「……っ」
「ん?」
 覗きこんでくる不二の顔を引き寄せると、オレは深く口付けた。
「リセット、されるのか?」
 反対にオレが不二を覗き込み、訊く。不二は少し驚いたような顔をしていたが、ふ、と微笑うと首を横に振った。
「されないよ。去年の君からの無茶は、この先も有効だから」
 その言葉と笑みに、ほっと胸を撫で下ろす。
「だったら、他に何もいらない。既にお前はオレのものなのだろう?」
「そう、だけど。何か無い?物とか」
「そうだな…」
 どうしても何かを言って欲しいという顔をする不二に、オレは苦笑すると暫し頭を巡らせた。今更、不二の手が止まっていることに気付く。
「だったら。明日、学校を休んでくれないか?オレも、明日学校を休む。というよりは、きっとそうせざるをえないだろう」
「え?」
「折角の二人きりだ。飽きるほど楽しまなければ、損だろう?」
 驚いた顔をしたまま固まっている不二に、オレはニヤリとどこかで見たような笑みを作って見せると、キスをした。そして、止まっていた不二の手を取ると、熱を持ち始めている自分のそこに触れさせた。




手塚、お誕生日オメデトウ!
ドリカムの『ROMANCE』を聴きながら、どうぞ。もしくは、アルバム【LOVE UNLIMITED ∞】ね。
この夜の続き(エロ)をどうしようか迷ってるのですが。読みたいですか?読みたければ書いてみますが。
んでね。自分が去年書いた手塚誕生日話を越えるストーリーを書けそうに無かったので、その翌年みたいな話にしてみました。あ。これね、不二の誕生日話の奴とは次元が違うと思ってくださいね。多分。
ってな感じで。去年書いたのはこちら⇒【ずっと、傍に居て欲しい。】


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